ソフトバンク/Vodafone合弁は「ケータイのYahoo!やGoogleに」

» 2006年05月18日 18時15分 公開
[岡田有花,ITmedia]

 ソフトバンクと英Vodafoneは5月18日、携帯電話事業で合弁会社を設立すると発表した。「新会社で携帯サイトのグローバルプラットフォームを構築し、Yahoo!やGoogleのようなポジションを取れれば」――ソフトバンクの孫正義社長は同日会見し、こんなビジョンを語った。

画像 左から日本法人元社長のビル・モロー氏、孫社長、英Vodafoneのアルン・サリーン社長

 新会社の資本金は110億円で、両社が折半出資する。取締役は両社から4人ずつ派遣し、孫社長やVodafoneのアルン・サリーン社長、日本法人元社長のビル・モロー氏が含まれる。

 新会社は、端末を共同で開発・調達するほか、携帯向けのポータルサイトやミドルウェアを共同開発し、その上で配信するニュースやスポーツ動画、ゲーム、音楽などといったコンテンツを国内外から調達する。まずは日本国内向けに事業を展開し、世界市場にも進出していく。

 「ソフトの共通プラットフォームが構築できれば、海外に出るチャンスが大きく広がる」――孫社長は、Windows普及以降、PCメーカーのビジネスチャンスがグローバルに広がった例を挙げ、世界仕様のポータルやミドルウェアが可能性を広げると語る。

 コンテンツは「文字中心から動画中心になる」とし、リッチコンテンツに注力していく方針。英Vodafoneからスポーツ動画を調達したり、国内のドラマを配信したり――といったイメージを描く。

 ボーダフォンのユーザー数は国内3位の約1500万人だが、Vodafoneグループのユーザーは世界1億7000万人。この巨大なパイに対して、ソフトバンクグループが持つコンテンツ力や、国内をフルカバーしたIPインフラを生かしてサービスを提供し、収益につなげていく。

端末はまず「日本向け」に iPod携帯は「憶測」

 端末に関しては「楽しい最先端機能を搭載した戦略機種をメーカーと共同開発し、世界のVodafoneグループパートナー企業への提供を目指す」という。一部で報じられた、iPod携帯の開発に関しては「憶測に基づいたものであり、一切コメントできない」とした。

画像 “AQUOSケータイ”905SHを持つ孫社長

 英Vodafoneが開発した世界共通仕様の端末が日本であまり受け入れられなかった経緯もあり、共同開発を心配する声も挙がったが、「日本のユーザーを意識したものをまず出すのが大前提」という。グローバルに通用する機種を開発する際も、全仕様を世界共通にするのではなく、「ボードは共通だがインタフェースは国ごとに異なる」といったイメージを描く。

「ヤフー創業と同じぐらいのインパクト」

 同日、KDDIとGoogleが提携し、会見を開いた。孫社長によると、会見日程が重なったことは「まったくの偶然」といい、「Yahoo!にとってGoogleは重要なライバル。国内ではYahoo!は、Googleよりもはるかに多く使われている。これをベースに携帯向けサービスを展開したい」と自信をのぞかせる。

 孫社長は日本のヤフー創業期を振り返ってこう語る。「ヤフースタート時の会見に来た記者は5〜6人、記事も5〜6行しか書かれなかった。その1〜2カ月前に開いたZiff Davisの買収会見には何百人と来たのだが……。そんなヤフーが今力を発揮している。新会社が目論見通り成功したら、それぐらい大きな意味を持つ」

 10月には番号ポータビリティ(MNP)が始まり、NTTドコモとKDDIの草刈り場になるのではという懸念もある。「対策は打ってきた。中長期的にはチャンスとして生かしたいし、生かせると思う」

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