日本の顧客をサポートすることで、OMAPはさらに進化する──日本TI 水上修平氏ワイヤレスジャパン2007 キーパーソンインタビュー(1/2 ページ)

» 2007年07月05日 22時44分 公開
[石川温,ITmedia]
Photo 日本テキサス・インスツルメンツ ワイヤレス・ターミナルズ製品事業本部の水上修平事業部長

 米Texas Instruments(TI)は、世界規模でチップビジネスを展開しているベンダーだ。日本ではドコモのFOMAをはじめ、数多くの端末が同社のOMAP/OMAP 2のチップセットを採用している。2006年にはOMAP 3を発表しており、2008年にはOMAP 3を搭載した端末が登場する見込みだ。

 日本テキサス・インスツルメンツ ワイヤレス・ターミナルズ製品事業本部の水上修平事業部長に、チップセットの現状や今後の戦略について聞いた。

OMAP 3の登場で“ケータイはこう変わる”

ITmedia 現在、TIが注力しているのは、どの分野なのでしょうか。

水上修平氏(以下敬称略) TIは、ワイヤレス分野では2つの柱の伸びに支えられています。まず1つ目が、いわゆる新興市場。BRICsと呼ばれる新興国での加入者が急カーブを描いて伸びています。この市場ではローエンド端末が中心になります。

 2つ目が既存のマーケット。こちらはミドルクラスからハイエンドモデルが主軸です。

 既存のマーケットにおいては、マルチメディアやビジネスエンタープライズのヘビーな使い方、つまり、PDAやスマートフォンをターゲットに据えています。OMAP 3は、テキストだけでなくPowerPointやExcelを開くといった、生産性の高いアプリを重視した端末をターゲットにしています。

ITmedia OMAP 3の需要はどんなところにあるとお考えですか。

水上 既存市場の端末にはさまざまな機能が搭載されていますが、それらはアップグレードされていくと思います。デジタルカメラ、ゲーム機、音楽再生プレイヤーといったものは、携帯電話でも専用機並みの実力が求められているのです。こうしたニーズに応えるためにOMAP 3の存在は重要と考えています。

ITmedia 2006年2月にOMAP 3を発表されました。その後の進捗状況を教えてください。

水上 今年の前半にサンプル出荷を開始し、すでにいくつかのお客様の評価を受けています。今のところ、とてもいい反響を得ている状態です。

 2008年の頭くらいにはOMAP 3を搭載した端末が登場すると見ています。

ITmedia OMAP 3には、どんな技術が搭載されているのでしょうか。

水上 ARMのCortex-A8という新バージョンのARMコアを搭載しているのが大きな特徴です。これはOMAP 2に搭載されているARM11比べ、約3倍の性能を備えるもので、プロセスは65ナノメートルのテクノロジーを使っています。そのため、OMAP 2と値段は変わりません。つまり高いコストパフォーマンスを実現しているのです。マルチメディア面では、OpenGL ES2.0やOpenVGのサポートをはたしました。

ITmedia ほかにはどんな特徴がありますか。

水上 高品質な720Pのハイビジョン映像を再生できます。(2月16日の記事参照)。ビデオであれば、DVD再生機と同じ性能を実現できるわけです。

 動作周波数は、サンプルで動作するのは最高1GHzとなっています。ソフトの互換性に優れているのも特徴で、OMAP 2 2430(OMAP2430)と今回のOMAP 3 3430(OMAP3430)は100%のソフトウェア互換性があります。OMAP 2で走っているソフトは、OMAP 3でそのまま実行できるのです。

 われわれのお客様は、ソフトウェアの開発に苦労されていますが、ソフトウェアの互換性を確保しているので、今までのソフト資産を再利用できる。これは大きいと思います。

ITmedia 今後、ワンチップとハイエンドチップの棲み分けはどうなっていくのでしょうか。

水上 TIとして考えている境目は端末の価格ベースで、100ドルが目安になっています。100ドル以下がローエンド、それ以上がミッドレンジからハイエンドと分けています。100ドル以下は今後、ワンチップが主流となっていくでしょう。いわゆるベースバンドとアプリ、RFまで統合したものです。

 100ドル以上のものは、ベースバンドとアプリケーションが独立したものが中心になります。

ITmedia 日本のローエンド端末も、100ドル以下のカテゴリーに入りますか。

水上 日本には販売奨励金制度があります。ここで示したのは奨励金がない価格なので、日本ではあり得えません。BRICsでは音声利用が中心で、ディスプレイがモノクロのものも多く、メールができるくらいという端末が主流になっていきます。そういうものが100ドル以下のカテゴリーに入ります。

ITmedia 100ドル以下のローエンド端末でも、今後は3G化が進んでいくのでしょうか。

水上 ローエンド分野は今後、多様化していくでしょう。さきほど、ミッドレンジからハイエンドが進化すると話しましたが、その流れはローエンドにも波及します。ローエンドもアップグレードされて、最低限のアプリやカラーディスプレイを搭載するのが標準的になってくると見ています。われわれのワンチップソリューションは、ある程度のアプリには対応できるようになっています。そのため“100ドル”といっても、アプリがまったく載らないということはないのです。

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