富士通、世界最小のモバイルWiMAX向け基地局を発表

» 2008年02月06日 20時30分 公開
[安達崇徳,ITmedia]

 富士通は2月6日、モバイルWiMAXの基地局「BroadOne WX300」を発表した。2008年第2四半期(4月〜6月)に出荷を開始する。この基地局装置は、最大送信出力20Wで半径数キロメートル(マクロセル)をカバーする性能を確保しながら、重さ約20キロ、容積は約20リットルとコンパクトな点が特徴だ。同社では、マクロセルのWiMAX基地局装置としては世界最小だとしている。

photo 右がモバイルWiMAXの基地局「BradOne WX300」。灯油を入れるポリタンクと同じくらいの大きさ。左にあるA4サイズのノートPCと比べると、大きさがつかめるだろう

パワーアンプの新技術により小型化と省電力化を実現

 BroadOne WX300と同じ大きさの基地局装置を従来の技術で作ると、その性能は半径数百メートルをカバーするのがやっとだ。BroadOne WX300では、パワーアンプに新技術を投入することで半径数キロメートルをカバーできるようになった。

 一般的に基地局装置の出力を大きくするには、信号のひずみを小さくするためにパワーアンプ(増幅装置)の大型化が必要になる。しかし、BroadOne WX300に投入した新技術は、パワーアンプでのひずみ特性を考慮し、あらかじめ補正した信号をパワーアンプに入力することで理想的な出力を得るというもの。これにより小さなパワーアンプでもこれまでより大きな信号が出力できる。

photo パワーアンプにおけるひずみ補整の技術

 BroadOne WX300は、無線送受信部、無線信号処理部、GPSレシーバ、電源などをまとめた一体型のモバイルWiMAX基地局となっており、「アンテナ、電源、ネットワークと接続すると工事が終了する」(同社常務理事モバイルシステム事業本部長の岩渕英介氏)ほど設置が簡単だ。初期コストは従来の約半分に削減できるとの試算も示した。また小型であるため、これまでの基地局と比べて設置場所の制約が少ない。

photo 富士通 常務理事 モバイルシステム事業本部長の岩渕英介氏

 このように小型化を果たしたBroadOne WX300だが、性能は犠牲になっていない。2系統のパワーアンプを搭載しており2×2のMIMOに対応するほか、初期は最大10MHz幅のみの対応となるものの、ソフトウェアのバージョンアップで20MHz幅の帯域も利用できる。これにより最大75Mbpsでの通信が可能になる。

 なおWiMAXには固定系とモバイル系の規格があるが、BroadOne WX300は固定系の上位規格となるモバイルWiMAXの「IEEE 802.16e-2005」に準拠する。「モバイルWiMAXは、モバイルからのブロードバンドアクセスにも固定アクセスの代わりにも使える」(経営執行役員上席常務の弓場英明氏)ことから、固定系のブロードバンド回線の整備が遅れている国や地域でも積極的に展開する計画だ。特に北米、中国やインドを中心にしたアジア、オーストラリアを重視する。

photophoto 経営執行役員上席常務の弓場英明氏(左)BroadOne WX300は、「BroadOne」ブランドとして初めて発表した製品。BroadOneは今後ワイヤレス機器やシステムのブランド名として用いる(右)

米Airspanとのアライアンス提携で世界展開

 富士通は、同時に固定系WiMAX基地局を販売する米国のAirspanとのアライアンス提携も発表した。このアライアンス提携により、富士通が製造するBroadOne WX300を含めるマクロセル基地局をAirspanが、Airspanが製造するマイクロセルまたは超小型基地局を富士通が販売する。

 基地局装置の開発や製造は個別に行うが、ソフトウェアは統一し、富士通とAirspanの基地局が混在するネットワークであっても親和性やメンテナンス性を向上させる計画。これにより、ランニングコストは約3分の1に削減できるという。

photophoto 富士通は携帯電話など移動通信網の構築実績がある。一方Airspanは固定のWiMAXの実績がある(左)。製品の相互供給のイメージ(右)

関連キーワード

WiMAX | 富士通


Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

2026年10月05日 更新
  1. ドコモがほぼ全ての料金プランを値上げ それよりも端末の値上げが気になるこの頃 (2026年10月03日)
  2. KDDIのローミング終了で楽天モバイルはどう変わる? 心もとない700MHz帯、独り立ちのカギは5Gにあり (2026年10月03日)
  3. 高市首相がAppleに要請――「自殺防止機能の搭載を」 生成AIへの相談増加を受け (2026年10月03日)
  4. ドコモがRCSで同意未取得の不備 約1万6000件に影響、対象ユーザーは利用停止に (2026年10月04日)
  5. ahamoがついに料金プランを改定。段階制へ――「40GB」が業界の新たなスタンダードになるのか (2026年10月04日)
  6. JR東日本「分かりにくい」新幹線券売機を改善へ なぜ、スマホではなく「駅での最短1分購入」を実現? (2026年07月04日)
  7. あなたの街の「スマホ決済」キャンペーンまとめ【2026年10月版】〜PayPay、d払い、au PAY、楽天ペイ (2026年10月03日)
  8. 「Androidのマイナンバーカード」は10月20日スタート予定 今の「スマホ用電子証明書」と何が違う? (2026年10月02日)
  9. WAON POINTやAEON Payのキャンペーンまとめ【10月4日最新版】 ポイント10〜20倍の獲得チャンス多数 (2026年10月04日)
  10. 免許証画像が漏れると何が“ヤバい”のか タイムズカーで最大約660万件の個人情報漏えいで考えられる「3つのリスク」 (2026年09月29日)
最新トピックスPR

過去記事カレンダー