「WiMAXが日本の社会インフラになるよう頑張る」──ワイヤレスブロードバンド企画 田中社長

» 2007年12月21日 22時27分 公開
[園部修,ITmedia]

 特定基地局の開設計画を認定され、晴れて2.5GHz帯でのモバイルWiMAXサービスが提供可能になったワイヤレスブロードバンド企画は12月21日、都内で会見を開き、同社の事業概要と今後の計画を説明した。

サービス提供価格は平均3200円程度

Photo 認定書を手に笑みを浮かべるワイヤレスブロードバンド企画代表取締役社長の田中孝司氏。「すばらしいクリスマスプレゼントをいただいた」(田中氏)

 ワイヤレスブロードバンド企画 代表取締役社長の田中孝司氏は、会見の冒頭で「認定をいただいたからには、モバイルWiMAXが日本の新たな社会インフラになるように、誠心誠意頑張っていく」との決意を表明。現在8億5000万円となっている資本金は、2008年2月末までに170億円に増資し、3月頭には企画会社を事業会社化する計画だ。

 事業会社化に合わせ、会社名は「専門家の意見を聞きながら、新たな社会インフラを作るという思いを表現できる別の社名に変更する」(田中氏)という。増資後も参加各社の出資比率は変わらない。

 商用サービスの開始は2009年第2四半期を予定するが、2008年第4四半期には、東京23区や横浜市などをカバーして、サービスに興味を持つ人を募集し、試験サービスを実施することを明らかにした。田中氏は「その頃にはネットワークはある程度できているので、人数を制限することはないと思う。今後アナウンスして広く募集していきたい」と話し、多くのユーザーが参加する試験サービスを実施する可能性を示唆した。

PhotoPhoto 事業計画では、2012年度末までに人口カバー率90%以上を達成する。2013年度までの累計で1440億円の設備投資を行い、2013年度末までに約560万加入を目指す。試験サービスは2008年第4四半期に開始予定で、この時は広く参加者を募集するという。商用サービスは2009年夏までに始める

 サービスの提供価格は、当初は「月額5000円以下くらい」としていたが、今回の説明会では「利用形態や契約などによって変わってくるが、平均すると3200円程度で提供できる」とより具体的な金額を提示。エリア展開は、2012年度に人口カバー率を90%超まで広げる計画で、屋外基地局は2012年度までに1万9000局程度設置する。また屋内基地局も2012年度までに1万9000局ほど展開する計画で、トンネルや地下なども含め、屋内も幅広くエリア化していく。基地局用地はKDDIの無線基地局を最大限活用する計画だ。2008年3月31日でサービスを終了するツーカーの基地局なども利用する考えで、すでに6000局分は確保済みだという。さらに、JR東日本の協力を得て、鉄道沿線や駅構内にも積極的に基地局を設置する。

PhotoPhoto 基地局は2012年度までに屋外型を1万9000局を設置予定。さらに屋内対策として1万9000局の屋内基地局の設置も計画している。基地局の設置場所は、KDDIの無線基地局を活用する予定で、すでに6000局分は確保しているという。さらにJR東日本の沿線や駅構内もエリア化していく

 そして端末は、最初はPCカードやインテルチップセットへの統合によるPCへの組み込み、UMPCやMID(Mobile Internet Device)などが先行する。その後ISPなどによるMVNO事業や、多種多様なデバイスへの展開があり、将来的にはPC以外の領域の、新たなビジネスの創造にまでつなげていく考えだ。なお携帯電話との連携については「それほど深い連携はないと思っている」(田中氏)と話した。サービスの基本は高速なデータ通信サービスであり、PCや家電などでのデータ通信があくまでもメインの用途になると考えているようだ。

総務省からは4社中1位の評価

 今回総務省から、4つの事業者の中で最も高い評価をされたワイヤレスブロードバンド企画。同社のプレスリリースでは、認定取得の理由を「ワイヤレスブロードバンドの普及を目指した事業計画の適切性、確実性、日本および世界において多彩なテレコム・サービスを提供可能とするモバイルWiMAX技術の出資企業各社による開発・標準化に対するこれまでの取り組みが総合的に高く評価されたことによるもの」だと説明している。

 総務省からの評価に対して田中氏は「2003年くらいからモバイルWiMAX事業を立ち上げようと頑張ってきたが、技術面だけでなくエリアの展開計画も含めて評価していただけたと思う」と感想を述べた。

 「ワイヤレスブロードバンドの世界で成功する鍵は“安くネットワークを作り、幅広くエリアを拡大する”こと。そうしないと需要が立ち上がらない。我々は基地局そのものの値段から基地局設置工事の方法、エリア展開のしかたなどのあらゆる分野で、いかにコストを抑えられるかを考えモバイルWiMAXの開発をしてきた。CEATEC 2007では、AC100Vの電源とイーサネットケーブルをつなげば基地局になるコンパクトなシステムも展示した。こうしたシステムは工事も簡単にできる。長年かけてローコストにネットワークを作る努力をしてきたからこそ、結果として全体の投資額が安くできる」(田中氏)

MVNOは差別しない

 今回認定を受けられなかった他の陣営は、MVNOなどを活用してモバイルWiMAX事業を展開する旨を表明しているところもあるが、これについては公平に受け入れていく考え。田中氏は「MVNOは、認可条件としてオープンにやっていくことになっているのでしっかり取り組んでいく」と話した。2008年の春にはMVNO説明会を開催する予定で、その場でスケジュールやサービス内容、提供条件といったガイドラインを提示して参加者を募るという。「オープンとフェアを2本柱に、3G事業者だろうがそうでなかろうが公平にしたい」(田中氏)

 なお今回、2.5GHz帯の認定を受けたのがウィルコムとワイヤレスブロードバンド企画の2社で、モバイルWiMAXを手がける事業者が1社しかないことを懸念する声もある。オープンワイヤレスネットワーク陣営からは「独占事業者になるので指定電気通信設備に認定し、オープン化を義務づけるべきでは」との意見も出ているが、田中氏は「特定の技術が、サービスなども含めてコントロールしてしまうものではないと認識している。今回の認定ではMVNOが条件になっているので、サービス競争は可能。WiMAX技術を採用する事業者が2社あるべきとの考え方は違うと思う」と話した。

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