あとはコストとソケット規格──小型・高出力化進むモバイル向け燃料電池FC EXPO 2008

» 2008年02月28日 23時14分 公開
[岩城俊介,ITmedia]

 東京・有明の東京ビッグサイトで2月27日から、燃料電池業界の展示会「FC EXPO 2008」と太陽電池業界の展示会「PV EXPO 2008」が開催されている。

 両展示会は業界最大の国際専門展として燃料電池、太陽電池に関する最新技術や新製品が一堂に会する。PV EXPO 2008は過去最多の467社、PV EXPOは301社の出展、来場者はそれぞれ3万人、1万人を見込む。大手自動車メーカーらによる燃料電池車の取り組み、家電メーカーやエネルギー関連各社らによる家庭用の中規模燃料電池や太陽光発電システムなどを中心に、それら技術を支える部材・開発・分析・製造機器メーカーらがブースを構える。開催は29日まで。

 今回はその中でも、出力2〜5ワットほどの小規模なモバイル機器向け燃料電池製品を展示していたメーカーや製品を見ていく。

MTI Micro Fuel Cells

 MTI Micro Fuel Cellsは、携帯やスマートフォン、ポータブルオーディオプレーヤーなどモバイル機器向けダイレクトメタノール型の燃料電池(DMFC:Direct Methanol Fuel Cell)「Mobion」シリーズを展示する。

photophoto 汎用性のある外付け型(USB端子経由などで給電)する、最新の「Mobion」プロトタイプ。メタノール燃料の詰め替えを可能とし、最新のMobionチップ技術などにより1個の燃料カートリッジで一般的な携帯のバッテリーを8回フル充電(約1カ月使用)できるという
photo シリーズ小型化の遷移。上から2006年11月時点と2007年夏の試作機、トータルで60%小さくした最新の試作機。試作機に搭載されるMobionチップはメタノール燃料1ccあたり1.4wHrの電力供給、チップサイズ9ccの小型サイズ、容易な製造性、約30グラムの軽量さ、0〜40度の温度下で使用可能といった特徴を持つ
photophoto リチウムイオンバッテリーの代替となる本体搭載型スマートフォン試作機も展示。Mobile World Congress 2008で東芝が展示していたリチウムイオン代替の“ラージバッテリーサイズ”DFMCほどの厚さ増程度に抑えられている
photophoto そのほか、デジタル一眼レフカメラ用のバッテリーグリップ型DFMC試作機も注目を集めていた。既存バッテリーグリップ比で約2倍の電力性能を備え、カメラ本体に接続して実駆動する以外にUSB端子経由で別途リチウムイオン充電池を充電することも可能

myFC、日本製鋼所

 水素を燃料に用いる固体高分子形(PEFC:Polymer Electrolyte Fuel Cell)製品や燃料カートリッジ、関連システムを開発する日本製鋼所(JSW)。その技術を採用するスウェーデン myFC社は、外部接続型燃料電池試作機「myFC Excess Charger」を展示する。

 myFC Excess Chargerは、同社が開発した16(幅)×36(長さ)×2.6(厚さ)ミリ/0.6V-0.6W〜0.5V-0.9Wほどの出力の小型燃料電池セル「1636 Chip」を4つ連結した“4-Cell Unit”を内蔵し、2V-2.4W〜2V-3.2Wほどの出力を実現する。今までのリチウムイオンバッテリーと比べて4〜12倍のエネルギー密度を持ち、低コストかつ製造性にも富むという。

photophoto myFCのFuelCellSticker技術を用いた外付け型燃料電池「myFC Excess Charger」。外形サイズは2.5インチの外付けHDD、あるいはスライドボディのスマートフォンくらいいったところ(左)。JSWが展示する、同じく外付け型燃料電池の試作機。電源容量は13Wh、出力は4.2V-2W、一般的な携帯のバッテリーを4〜5回フル充電できるという

NEC

photo NECが製造した携帯向け小型燃料電池の試作機。右側に燃料充填用ソケットがあるが、各社でまだばらばらである現状がある。このソケットの規格統一も今後の大きな課題の1つだという

 独自ブースの出展はなかったが、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)ブースにおける研究開発成果公開の一環として、NECは携帯用小型燃料電池の試作機を展示していた。

 この試作燃料電池は、電極と電解質皮膜を一体成形する技術により横に並べた際(平面スタック)の小面積化を果たすとともに、新たな燃料制限供給技術で燃料の高濃度化と電解質膜電極接合体(MEA)の高出力化を図ったものだという。

 あくまで研究成果の一環ということで商品化は未定とのことだが、携帯などモバイル機器向けの燃料電池(小型充電器)として適用できる小型サイズを実現するのが特徴の1つ。今後、セルの並べ方の工夫や薄型化の推進により現状のリチウムイオンバッテリーサイズにも技術的には展開可能とし、端末搭載(リチウムイオンバッテリー代替)型のものも想定していると思われる。

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