端末不況が直撃──“足もとの弱さ”が垣間見えたソフトバンクの2009年春モデル:神尾寿のMobile+Views(2/2 ページ)

» 2009年02月05日 08時00分 公開
[神尾寿,ITmedia]
前のページへ 1|2       

 今回の春モデルの発表会で、KDDIは「EZナビウォーク」の強化や「MYスライドビデオ」の投入、TransferJetの参考出展など、コンテンツ/サービス分野でも積極的な発表を行った。また、NTTドコモは昨年の冬モデル発表会で、将来に向けた新サービスとして「iコンシェル」や「iウィジェット」を発表。ほかにも「iアプリオンライン」や「地図トーク」「モバイルGoogleマップ ストリートビュー」などさまざまな新サービスを投入しており、春商戦に向けてこれらのコンテンツやサービスをしっかりと育てている。

 もし、ソフトバンクモバイルがコンテンツ分野を強化したいならば、安易にコンテンツを囲い込むのではなく、新しいサービスや市場を育てるべきだ。同じ2億円以上のコストをかけるならモバイルウィジェット市場の育成と強化の資金にあてた方が、将来への投資としてよほど有意義だろう。自らの将来ビジョンに合わせてコンテンツ/サービス分野を地道に育てていかなければ、本当の意味での「データARPU向上」は難しい。既存ユーザーの満足度をあげて、解約率を低くすることもできないだろう。

今は“キャリアとして足もと”を固める時期

 誤解を恐れず、あえてはっきり言おう。

 多数のお笑い芸人が華やかに発表会を進行する中で、筆者が終始感じていたのが、その場の空々しさと、ソフトバンクモバイルの焦りだった。お笑い芸人の方々の仕事ぶりには敬意を表するが、率直に言って、これほど「寒い」内容の新製品発表は久しぶりだ。

 端末販売市場は2007年度と比べて3割以上の落ち込みになる模様であり、さらにドコモの解約率が0.5パーセント以下という現況では、ソフトバンクモバイルを取りまく経営環境や、今年の先行きは厳しい。店頭競争力のあるモデルを多数取りそろえて、積極的に攻めの姿勢をとることが難しいのは確かだ。しかし、だからこそ安易な施策に走らず、今は「選択と集中」をして、将来につながるインフラの強化や、ソフトバンクらしいコンテンツ/サービス分野の育成に注力すべきだ。端末市場の縮退や販売モデルの信頼性低下で崩壊しかかっているビジネスモデルを再構築し、収益構造の改善も必要だろう。むろん、こうした取り組みには時間がかかる。しかし、一時的に快進撃の足が止まっても、持続的な成長を続けるための“仕切り直し”は価値のある行為だ。

 ソフトバンクモバイルのフットワークのよさ、業界の慣習に縛られない自由な発想力とビジネス手法、一般消費者のニーズや次のトレンドを読み取る力などは、日本のモバイル産業を活性化していく上で必要だ。だからこそ、同社には次の10年の成長に向けて“キャリアとしての足もと”を固めてほしいと強く思う。

 2009年はソフトバンクモバイルにとって厳しい1年になりそうだが、それをどのようにして乗り切り、市場の活性化とモバイル産業の発展に貢献するのか。孫正義社長の舵取りと、同社の取り組みに期待したい。

携帯業界のトレンドを知りたいと思ったら→+D Mobile「業界動向」へ
  • 各キャリアの発表会リポート
  • 国内外の携帯市場動向
  • 通信業界のキーパーソンインタビュー
  • 携帯事業者別シェア/携帯出荷台数
  • 携帯関連の調査リポート記事

携帯業界のトレンドや今後を把握するのに必要な記事だけを集めたのが“+D Mobile 業界動向”。記事はトピックや連載ごとにアーカイブされ、必要なときにまとめてチェックできます。
今すぐアクセス!


前のページへ 1|2       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

2026年10月06日 更新
  1. KDDIのローミング終了で楽天モバイルはどう変わる? 心もとない700MHz帯、独り立ちのカギは5Gにあり (2026年10月03日)
  2. ドコモがほぼ全ての料金プランを値上げ それよりも端末の値上げが気になるこの頃 (2026年10月03日)
  3. KDDIのローミング縮小でも「やめる理由にはならない」 楽天モバイルユーザー4人が語る本音と“経済圏”の囲い込み (2026年10月05日)
  4. ドコモがRCSで同意未取得の不備 約1万6000件に影響、対象ユーザーは利用停止に (2026年10月04日)
  5. JALモバイルはなぜIIJに加え「ahamo」を選んだのか? JALとドコモが明かす“ホワイトレーベル”の狙い (2026年10月05日)
  6. 高市首相がAppleに要請――「自殺防止機能の搭載を」 生成AIへの相談増加を受け (2026年10月03日)
  7. ahamoがついに料金プランを改定。段階制へ――「40GB」が業界の新たなスタンダードになるのか (2026年10月04日)
  8. 注目点は“可変絞り”だけじゃない! 「iPhone 18 Pro」のカメラは思った以上に変わっている (2026年10月05日)
  9. JR東日本「分かりにくい」新幹線券売機を改善へ なぜ、スマホではなく「駅での最短1分購入」を実現? (2026年07月04日)
  10. WAON POINTやAEON Payのキャンペーンまとめ【10月4日最新版】 ポイント10〜20倍の獲得チャンス多数 (2026年10月04日)
最新トピックスPR

過去記事カレンダー