MOTOROLAから発売された「XOOM Wi-Fi」(以下、XOOM)は、Android3.0を搭載したタブレット端末だ。タブレット向けに最適化されたGoogleの最新OS「Android3.0」と、デュアルコアチップ「NVIDIA Tegra 2」との組み合わせで、従来のAndroid2.x系列の資産を生かしつつ、軽快な動作を実現していることが大きな特徴となる。
国内ではXOOMの前にNTTドコモからAndroid 3.0搭載のLG電子製タブレット「Optimus Pad L-06C」が登場し、XOOMは国内における実質2機種目のAndroid 3.0搭載タブレットとなる。Optimus Pad L-06Cは3G回線を搭載し、価格的にはやや高めであることから、XOOMを本命視しているユーザーも多いだろう。今回は主にハードウェアとOSを中心にXOOMのファーストインプレッションをお届けする。
なお、今回レビューに使用しているハードウェアは、4月8日にauから発売された国内版ではなく、海外版となる。技適を取得していないために日本国内で利用すると電波法違反となるため、海外で試用している。ハードウェアの構成などに違いはないが、メニューが日本語化されていないほか、デザインなど細部が異なる可能性があるので、あらかじめご承知置きいただきたい。ホーム画面におけるウィジェットの配置の違いなど、相違が判明している点は、本文中の該当箇所で言及している。
まずは基本的な仕様を見ていこう。忙しい方のためにざっくりとまとめると「サイズや重量は初代のiPadとほぼ同じ、カメラやカードスロットなど付加機能が大きな相違点」ということになる。
画面サイズは10.1型、解像度は1280×800ドット。この数値だけ見ると、9.7型、1024×768ドットの初代iPadに比べて大きいように見えるが、4:3比率のiPadと違ってXOOMはワイド比率なので、実際のサイズは長辺はiPadとほぼ同じ、短辺はiPadよりも短い。つまりiPadよりもフットプリントは小さい。
ワイド比率とはいえ、長辺が9.7型のiPadとほぼ同等であることに首をひねる人も少なくないだろう。普通に考えると10.1型のXOOMの方が大きくておかしくないからだ。その理由は、ベゼルの幅が狭いことにある。XOOMはiPadのホームボタンのような物理ボタンを搭載しないこともあって本体のベゼル幅が上下左右とも約15ミリと狭く、そのため約19〜21ミリのベゼル幅があるiPadと同等の長辺でありながら、10.1型の画面を搭載することに成功している。
狭いベゼル幅でありながら、カメラを搭載しているのも驚きだ。約200万画素とスペックは低いが、ビデオチャットなどに重宝する。ちなみに背面にもカメラが搭載されており、こちらは約500万画素とのことで、一般的な写真や動画の撮影に重宝する。
XOOMの数少ないネックといえそうなのが厚みと重さだ。厚みは12.9ミリで、初代iPad(13.4ミリ)より薄いとはいえ、背面の縁が初代iPadほどナナメにカットされておらず、縁の部分からして厚みがあるため、持ったときにやや厚く感じる。また、重量が約700グラムと初代iPadのWi-Fiモデル(約680グラム)より重く、手に持った際にずっしりくることから、スペック以上に厚く感じてしまう。
タッチパネルは静電容量方式、つまりiPadと同じ。後述するAndroid3.0との相性の良さやハードウェアスペックが高いこともあり、タッチの反応は良好で、引っかかりや遅延もほとんど見られない。“ほとんど”と書いたのはアプリに依存するとみられる挙動の遅さが若干あるためで、この辺りはアプリ側の問題もありそうだ。もちろんマルチタッチにも対応しているので、iPadやiPhoneを使っているユーザーであれば、特に違和感なく利用できるだろう。
CPUはデュアルコアプロセッサであるNVIDIA Tegra 2(1GHz)を採用している。内蔵メモリは32Gバイトで、これ以外にmicroSDスロットを装備している。最大32GバイトまでのmicroSDHCが利用可能とされるが、なぜか現状では利用できず、後日対応とされている。つまり、物理的にスロットは搭載されているが、microSDを挿しても現時点では認識されないのだ。ファームアップで対応するようだが、不思議なではある。
通信は無線LAN(IEEE802.11b/g/n)に対応し、3G回線は搭載しない。このほか、Bluetooth 2.1+EDRにも対応している。センサー類については、GPSや加速度センサーなどを備え、画面の縦横回転や、地図アプリではコンパスが利用できる。
専用オプションとしてはドッキングステーションやワイヤレスキーボードドック、ケースなどがアナウンスされているが、本稿執筆時点では未発売。microSDスロットの件も含め、やや市場投入時期を急いだのではないかと思わせる節が随所にみられる。とはいえ、実際に製品を触ってみると、それらがささいなことだと思わせる完成度の高さに驚く。次ページではOSおよびアプリについて見ていこう。
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