“飛び出すインカメラ”でほぼ全画面化 先端技術で先ゆく中国スマホメーカー:山根康宏の中国携帯最新事情(2/3 ページ)

» 2018年06月27日 14時00分 公開
[山根康宏,ITmedia]

長年の製造ノウハウがあって誕生した新ギミック

 実はOPPOはモーターでカメラを動かすギミックを過去にも出している。2014年に発売された「N3」は、本体上部のカメラが普段は背面側を向いており、インカメラを使うときは前面側に206度回転するのだ。このN3の前モデル「N1」は手動でカメラを回転させる必要があったが、N3はモーターを使い一瞬で回転する。このN3で得たスマートフォンに小型モーターを組み込むノウハウが、FIND Xに生かされている。

OPPO モーターでカメラが前後に回る「OPPO N3」

 OPPOもVivoもここ数年でグローバル市場での頭角を現したことから、Xiaomiなどの新興企業と同様に最近出てきたメーカーというイメージがあるかもしれない。しかしOPPOは2003年から音楽プレーヤーを手掛け、2008年に携帯電話市場に参入している。Vivoは2009年に創立された。両者とも、最初のスマートフォンは2011年に発売している。つまりスマートフォンの開発で10年弱の歴史を持っているのだ。

OPPO 2008年に発売されたOPPO初の携帯電話、A103

 しかも両者ともに自社工場を持ち、基板を製造するSMT(Surface Mount Technology、表面実装)ラインも持っている。大手のOEMやEMSに任せるのではなく、設計・開発した製品を全て自社で製造しているのである。筆者は実際にOPPOの工場を見学したことがあるが、ICのパーツから基板を作り、製品までを一貫して製造する様は圧巻だった。しかもOPPOの社員は入社後に全員が工場実習を行う。それによりスマートフォンがどのように作られるかを体験するのだ。

OPPO 中国・東莞市にあるOPPOの本社工場

 今時のIT企業なら製造は全て外注することでコストを下げるのは当然のこと。Xiaomiは工場を持っておらず、フォックスコンなどが製造を請け負う。ここ数年中国の深センが大きな話題を集めているのは、アイデアを練ればそれを製品化する工場が多数存在するからだ。世界中のスタートアップ企業の多くが深セン、あるいは隣接する東莞など広東省の工場に製品製造を依頼している。

 それに対して社内の設計者・開発者がライン実習をするというスタイルは「古い」「時間の無駄」と思われるかもしれない。しかしOPPOやVivoのスタイルは日本の企業がこれまでやってきたことそのものである。メーカーが社員育成の一環としてモノづくりの現場を体験させることは、自社が何を行う企業なのかを意識の底に植え付ける効果がある。ましてや開発に携わる社員であれば、設計したものが製造できるものなのか、難しい場合はどうしたら実現できるのか、常に現場を意識した製品開発を心掛けることができる。

OPPO OPPOの工場内部。SMTラインも持ち全ての製品が自社生産だ

 NEXとFIND Xのギミックの発想は初めてのものではないだろう。ところがそれを実現した製品はなかなか生まれず、VivoとOPPOがやってのけた。開発と生産現場が一体化されているからこそ、紙の上でしか実現できないようなアイデアでも実製品に仕上げることができるのだろう。日本のIT製造業が世界の先端を突っ走っていたころの姿に重ねて見える、というのは言い過ぎだろうか。

 2社とも2014年に世界最薄スマートフォンをこぞってリリースした過去もある。OPPOの「R5」は4.85mm、Vivoの「X5 Max」は4.75mmと、今でもこの2製品の薄さは群を抜く。もちろんフレームは金属製で高級感ある本体仕上げだ。ここまで薄い製品を送り出すためには、本体の設計に多くの試行錯誤が繰り返されたことだろう。しかも図面通りに製造しても、実製品は設計通りのパフォーマンスが出ないのがモノ作りというものだ。耐久テストに合格するまでに得られた知見の積み重ねがその後の製品に生かされ、今の両者の世界での躍進につながっているのである。

Vivo 世界最薄スマートフォンの「Vivo X5 Max」。2014年の製品だ

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