iOSとAndroidで「eSIMクイック転送」がついに解禁 iPhoneとPixelで検証、OSの壁はなぜ越えられた?:石野純也のMobile Eye(2/3 ページ)

» 2026年02月21日 06時00分 公開
[石野純也,ITmedia]

iOS 26とAndroid 16で相互転送が実現 キャリアの対応も必要に

 eSIM転送と聞くと、端末同士が直接eSIMのプロファイルをBluetoothなどで送受信しているように思えるが、実際にはそれぞれの端末がキャリアのeSIM発行用サーバにアクセスして、裏側で再発行依頼をかけている仕組みだ。UI(ユーザーインタフェース)でラッピングして、複雑な手続きを簡略化しているといえる。

 その分、AppleやGoogleだけでなく、キャリアや実際にeSIMの発行を行うベンダーなど、関係者が多岐にわたるため調整には時間がかかる。ただ、そのままだと端末の入れ替えにSIMカード以上の手間がかかるうえに、機種変更時のハードルにもなってしまう。

eSIM転送 eSIM転送の仕組み。端末同士で直接転送しているのではなく、キャリアを介している。そのため、プラットフォーマーだけでなく、KDDIなど、キャリアの対応も必要になる(図はGeminiで作成)

 解決に動いたのはAppleだった。同社は、2022年に配信された「iOS 16」に「eSIMクイック転送」を導入。KDDIと楽天モバイルが、まずこの機能に対応し、現在は4キャリアの全ブランドに広がっている。

eSIM転送 eSIMクイック転送はiOS 16で実装された。標準化よりも早かったため、当初は独自仕様だったといわれている

 これに対し、Googleは全世界のキャリアが作る業界団体GSMAの標準化を待ち、2023年のMWC Barcelonaで対応を発表。当初はドイツテレコムなどの海外キャリアがサポートし、日本ではドコモが2024年3月にこれを開始。現在では、楽天モバイル以外の3キャリアがこれをサポートする。

eSIM転送 23年のMWCでは、AndroidのeSIM転送が発表された。写真は当時の様子。Googleのカラ・ベイリー氏はGSMA標準に準拠していることをアピールしていた

 一方で、独自にeSIMクイック転送を実装したAppleと、GSMA標準仕様を使ったGoogleのeSIM転送には互換性がなく、プラットフォームの乗り換えを妨げる要因にもなっていた。端末内にSIMの情報を囲い込んでしまえるため、SIMカード以上に囲い込みの力が強くなってしまったといえる。これに対し、AppleとGoogleは水面下で協力を進め、GSMAの標準に対応。2025年に登場したiOS 26とAndroid 16には、プラットフォームをまたぐeSIM転送機能が実装されていた。

 上記のように、eSIM転送はキャリア側の設備にも依存するため、iOS 26やAndroid 16が登場した当初は、米国のVerizonやAT&T、T-Mobileに機能が限定されており、日本では利用できなかった。KDDIが対応したことで、ついに日本でもプラットフォームを横断したeSIM転送が始まったというわけだ。同じApple製品でもiPadOSとは互換性がなかったり、Windowsが蚊帳の外だったりと非対応なプラットフォームも残るが、大きな一歩を踏み出したといえる。

eSIM転送 2月8日からKDDIがプラットフォームをまたいだeSIM転送に対応。ついに日本でも、iOSとAndroidの間でeSIMを簡単に移行できるようになった

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