メーカー同士が同席するこの場ならではの質問も飛んだ。「他社の折りたたみで、いいなと思う機能」だ。
モトローラの伊藤氏は機能ではなく、他社の折りたたみを見ると「軽く、薄くできている」点を挙げた。モトローラも重くなりすぎないようにと考えたが、カメラのスペックやバッテリー容量とのバランスもある。そこは妥協したくなかった結果、他社よりやや重めに収まったと認めつつ、引き続き軽量化を目指したいという。田中も、機能を追求すれば重さや厚さが増し、軽さや薄さを追求すれば機能が削られると指摘。各社はこのトレードオフの中でバランスを取っている。
サムスンの久慈氏は、モトローラの「Motoジェスチャー」を挙げた。端末をひねってカメラを起動する、振ってライトを点けるといった、よく使う機能に即座にアクセスできる仕組みだ。Galaxyもサイドキーへの割り当てやジェスチャーには対応しているが、Androidや折りたたみならではのカスタマイズ性のよさは、もっと広まってほしいと話す。
OPPOについて挙げたのは赤外線リモコンだ。全ての家電がスマート家電化しているわけではない中、スマートフォンがそのままリモコンになるのは「非常にいい点」だという。サムスンも「SmartThings」というプラットフォームを持っているが、対応デバイスやサービスが広がれば、スマートフォンの新たな価値が生まれるのではないかと話していた。
丹下氏は「まさかそこを触れられるとは思っていなかった」と笑いつつ、自宅でもリモコンを取りに行くより手元のスマートフォンをそのまま使えるのは便利だと応じていた。
次に取り上げられたのはフォルダブルスマートフォンの価格だ。新品で20万〜30万円という水準が続く中、メモリやストレージの価格高騰でスマートフォン自体が値上がりしている局面でもある。二重苦ともいえる環境で、各社は求めやすさをどう考えているのか。
OPPOの丹下氏は、価格以前に折りたたみとしての耐久性や折り目、バッテリーといった「磨き込み」がまだ必要だと評価する。ユーザーが何の不自由もなく使える状態は「近未来だとは思う」が、そこにたどり着くまでには時間がある。まずはそこに力を入れる。価格については、Appleの参入がうわさされる中で市場全体のパイが大きくなった後に考えられるのではないか、と個人的な見解も交えて語っていた。
モトローラの伊藤氏は、メモリ価格の高騰はフォルダブルスマートフォンの価格に影響があると認めた上で、その要因であるAIサーバ向けの需要はまだ続くとみており、「ここ数年はメモリ価格の高騰が続くのではないか」と話す。その中で今回は、IIJとのパートナーシップという形を取った。IIJとの議論の中で出てきた価格感を実現するため、10万円引きに踏み切ったとのことだ。
ただ、フリップ型の無印モデルではCPUをフラグシップではなく1つ下のクラスにする、メモリを抑えるといった形でスペックのバランスを取り、求めやすい価格を実現しているが、foldではまだそこまでできていない。今後は「より求めやすいfold」を模索する必要があると話していた。
サムスンの久慈氏は、メモリ高騰など外的要因で避けられない部分はあるとしつつ、大前提として折りたたみならではの技術革新を継続し、「価格に見合う価値」を製品に落とし込むのが方針だとした。その上で、関係各社と提携したプロモーションや予約購入特典を実施し、購入のしやすさという面では、Galaxy Harajukuと大阪のGalaxy Studioで分割払いの適用を拡大しており、今後はオンラインストアでの対応も検討する。価値の向上、プロモーション、そして購入のしやすさの3方向で「手に取りやすさ」を実現したいとしている。
このセッションが開かれたのは、Appleが折りたたみiPhoneを発表するとうわさされる9月のイベントの直前だった。既存メーカーとしてこれをどう捉えているのか。
サムスンの久慈氏は、消費者の折りたたみへの関心が高まり、「メインストリーム化が進む」とみる。これまでテッキー(techie)な人やこだわりの強い人など一部の選択肢だった折りたたみが「当たり前の選択肢」になるということであり、それだけバータイプのユーザーへのアピールが重要になる。
「じゃあ、どの折りたたみにするか」となったときに3モデルのラインアップという強みがあり、7年間蓄積してきたユーザーの使い方や声のデータも武器になるとして、「商機と捉えている」と語った。
OPPOの丹下氏も「商機と捉えている」と同調した。市場全体が大きくなることは、先の価格の話にもつながる。その中でOPPOとしては、選ばれる際に必ず消費者の目にとまるとがったカメラや目立たない折り目といった、「選んでもらう価値、基準」をきちんと持った製品を日本に投入していくとした。
モトローラの伊藤氏は「ユーザーにとって選択肢が増えることはいいこと」と歓迎する。現状、日本ではモトローラのシェアは限られるが、Appleが入ることで折りたたみという選択肢自体が広がり、開発面でもメリットがあるとしている。3社とも参入をポジティブに捉えている形だ。
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