先月、総務省で「利用者視点を踏まえたモバイル市場の検証に関する専門委員会」が開催された。
iPhoneの発売タイミングであったため、すっかり傍聴しそびれたと反省していたら、なんと「9月17日から24日、メールを用いて検討」であった。
つまり、「資料を公開するから、委員はメールで意見を総務省に返信しろ」ということのようだ。
この記事は、毎週土曜日に配信されているメールマガジン「石川温のスマホ業界新聞」から、一部を転載したものです。今回の記事は2026年10月10日に配信されたものです。メールマガジン購読(税込み月額825円)の申し込みはこちらから。
スマートフォンの割引規制という国民生活に影響を及ぼす重要な政策について、議論の過程を公開することなく、メールというクローズドなやり取りだけで決めてしまうという無責任さは理解に苦しむ。
今回の注目は端末購入プログラムにおける残価率の設定だ。
2024年にはRMJ(リユースモバイルジャパン)の買取実績データを元に、キャリアは2年後の買取価格を算出し、端末購入プログラムでの残価を設定するというやり方になっていた。
しかし、販売されているあらゆる機種(容量別)に対して、買取価格を調べ、年数ごとに価格を出し、リスト化していく作業はRMJもキャリアも疲弊している。
そもそも「取り扱い台数の少ないRMJを参考にして信頼性はあるのか」と突っ込むキャリアもいるなど、もはや機能していないルールと化している。
専門委員会では「残価率の設定は業界で統一する」といった検討がなされており、これが年内にも決定しそうな勢いだ。
こうなってしまうと、残価率は今まで以上に低くなってしまい、ユーザーはスマホをさらに買いにくくなる恐れが出てくる。
おそらく、このタイミングでそもそもいまの残価設定プログラム自体を見直すぐらいでないと、誰もキャリアでスマホを購入しなくなるのではないか。
現状の残価設定プログラムは「2年ごとに買い換えればお得」ではあるが、この9月はiPhone 18が出なかったため、2年前に購入したユーザーは途端に月々の支払い額が上がり、負担が増すことになる。
2年後に返却しようと思っても、毎月、補償プログラムに入らなくてはならず、さらに2年後に別のキャリアに行こうものなら、別に2万円の支払いを請求される。
様々なところにトラップが存在し「本当に得に買えるのか」がよくわからなくなっている。
結局、「メーカー直販で買って、傷をつけずに使い続け、返却する」というのが最も賢い買い方であることに、ユーザーは気が付き始めている。
業界的には最先端のAIが使え、最新の通信技術によって、快適なデータ通信を支える端末を普及させていく必要がある。最新のスマホによって、ユーザーの生活が豊かになるべきなのは間違いない。
しかし、いまの総務省のルールでは、最新スマホの普及を遅らせるだけにすぎない。
いっそのこと、割引規制はすべて撤廃し、アメリカや韓国のように自由競争でキャリアに売らせるべきだ。
スマホの「実質価格」高騰の恐れ、iPhone 18 Proは2倍高く? 総務省の残価設定ルール厳格化は“誰のため”か
「060」携帯電話番号の提供延期の原因は? 林総務大臣が改めて説明
転売屋によるスマホ回線の「短期解約」「ホッピング」 総務省の検討する対策は十分なのか? 店員からの意見
エディオンら、携帯契約時に義務違反 総務省が発表 NTTドコモにも行政指導
「実質24円」は今後も続く? スマホ残価設定は「現状維持」、残価率の一律化は「適当ではない」と総務省が評価© DWANGO Co., Ltd.