携帯電話回線の新規/乗り換え(MNP)契約の特典として提供される割引や還元(キャッシュバック/ポイントバック)を目的に、短期間での「解約」、あるいは他社へのMNPを次々に行う「ホッピング」が問題になっている。短期解約やホッピングは監督官庁である総務省も問題視しており、設置した有識者会議において規制を設ける方向で議論が進んでいる。
回線契約にひも付く割引/還元について、議論では最長12カ月に渡って分割して実施する方法方法を容認する方向で調整が進んでいる。見方を変えると、これは「1年縛り」を事実上復活させることで短期解約やホッピングを抑制しようという考え方だ。
契約回りの規律が変わると、直接的な影響を受けるのは携帯電話の販売店である。総務省による法令改正によって販売店にどのような影響が出るのか、この連載でも何度か紹介してきた。
総務省で進む短期解約/ホッピング抑制の議論について、販売店の店員(スタッフ)たちはどう考えているのだろうか。短期解約/ホッピングの現状と併せて聞いてみよう。
まず、現状で短期解約やホッピングに対する対策はできているのだろうか。話を聞いてみよう。
うちは家電量販店の携帯電話コーナーですが、大規模店舗ということもあって他事業者で新規契約したお客さまを把握して(顔を覚えて)対応する、という対応は取れません。
一応、事業者によっては「新規契約当日はMNP予約番号を交付しない」という対策を講じてはいるのですが、例えば自店で契約した携帯電話番号かどうかは分かりませんし、他事業者さんで契約しているので「昨日、契約しましたよね?」ともなかなか言えません。
一応、MNPの予約番号の有効期限から「予約番号の取得時期」の逆引きはできるんですけど、「その携帯電話番号(回線)の契約日時」は、他事業者が持っている情報なので分からないんですよね……。
大規模な家電量販店の場合、1つ1つの携帯電話事業者のコーナーが大きい。そのため、他事業者で契約した人の顔を覚えるのが難しい。事業者ごとに代理店(契約実務を担当する会社)が異なる量販店では、なおさらだ(※1)。
MNPの仕組み上、いわゆる「ホッピング」かどうかを判断する方法がないため、現状では防ぎきるのは困難ということになる。
(※1)事業者ごとに代理店が異なる量販店では、事業者によっては自ら(代理店を通さずに)契約を担当していることもある
別の店舗のスタッフからは、ホッピングに関する面白い話を聞けた。
(販売員としての)経験による部分はありますけど、お客さまの“契約の仕方”で「ホッピング目的なんだろうな」と何となく察することができます。割引/還元の施策についてやけに詳しかったり、契約時の重要事項説明をすんなり理解してくれたり、SIMカードのみの新規契約の提案もむしろ乗り気だったり……。全員が全員というわけではありませんが、「多分そうなんだろう」と。
もちろん、こちらから「ホッピングですよね?」「特典や転売が目的ですよね?」とは聞けませんが、あからさまが過ぎる人は契約自体をお断りします。ただ、本当にそういうのはごく一部だけです。
正直、そういう(ホッピング目的の)お客さまに助けられている面もゼロではありません。携帯電話が年々売れなくなっている中でも、事業者から毎月落ちてくる(契約)目標はそれほど下がっていません。「目先の販売台数」につながるお客さまという意味では、むげにするわけにも行きません。
ホッピングが目的であったとしても、MNP契約の獲得実績に“+1”であることに変わりはない。「売らなければならない」という販売店の事情を加味すると、「防ぎようがない」という状況が必ずしもマイナスとは限らない側面も見えてくる。
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