何ができて、何ができない?――AndroidとiPhoneの“ケータイメール”を比較する:5つのメーラーを検証(2/2 ページ)
現行スマートフォンのほとんどのモデルで、ケータイで使っていたアドレスによるメールを利用できるようになった。絵文字、装飾メール、フォルダ振り分けなど、これまでと同じ操作感で利用できるのだろうか。5つのメーラーを比較した。
au Eメール(IS03):基本的な機能をカバー
IS03のEメールアプリでは、メールを自動受信するサイズを「137KB」「300KB」「1MB」から選択できる。受信メールの保存件数についてはCメールも含まれるので注意したい。現在の保存件数は設定の「メール容量確認」から行える。
絵文字、デコレーション絵文字、デコレーションメールは従来のケータイ感覚で使えるが、絵文字とデコレーション絵文字を選ぶのは少々大変。ボタンが小さいのだ。テンプレートもあるが、spモードのようにテンプレートの画面を見ながら選ぶのではなく、テンプレート名を選択してからプレビューを見る形。プレビューを次々と切り替えて見られるが、一度にチェックはできない。
指定した人だけからのメールを受信することも可能だ。「設定」→「Eメール設定」→「受信/表示設定」→「メール受信方法」を選択すると、初期設定では全受信になっているが、条件付きのメールだけを受信するように変更できる。例えばアドレス帳に登録のある人のみ、特定の件名のメールのみ、特定のメールアドレスのみ、といった形だ。迷惑メールで困っている人はもちろん、スマートフォンでは決まったメールのみを受信したい、という人には有効だろう。
メールのフォルダは作成可能。受信ボックスでフォルダボタンを押して、フォルダ切り替えの画面でメニューを開けばいい。フォルダを作成したら、そのフォルダを長押しすると振り分け登録ができるので、後は条件を付ければよい。
受信通知について、はステータスバーに表示されるのはもちろんだが、ディスプレイの下にあるスピーカーの右に青ランプが点灯し続ける。また、メモリ液晶部にも小さなアイコンが出るので分かりやすい。アドレス帳ではメール受信音の設定も可能で、1人ずつ指定できる。
spモードメールと同じく、Wi-Fi利用時でもEメールを送受信できるが、データ通信をオフにしようとすると、Eメールの送受信ができないことを警告する表示が出る。SIMなしの状態では受信するとエラー表示が出て、送信時はau ICカードを挿してからするように促される。
ソフトバンク SofBankメール(001HT):デコレメールは非対応
ソフトバンクのスマートフォンが送受信できる添付ファイルは300Kバイトと小さい。また、001HTなど海外メーカー製端末向けのSoftbankメールはデコレメールに対応していない。絵文字については、絵文字挿入ボタンがあるほか、絵文字のカテゴリーがアイコンで画面下に並び、ワンタッチで絵文字のカテゴリーを変えられるので使いやすい。
iPhone 4と同じようにチャット風の表示にも対応しており、設定でフォルダ表示とチャット表示を切り替えられる。保存件数は基本的にデータフォルダ容量に依存するが、設定に「メッセージの保存件数」がある。初期設定では5000件だが、最大で2万件まで変更できる。ちょっとした機能ではあるが、メールの重要度設定ができるのも気が利いている。仕事で使うのなら、送信するときに重要度を指定できるのは便利だろう。
フォルダ作成にも対応しており、初期状態では受信フォルダ一覧に「フォルダ1」「フォルダ2」「フォルダ3」……と並んでいる。これらのフォルダを長押しして、フォルダ名を変更、差出人を指定すると、その人からのメールが振り分けられる。001HTの場合、受信通知はディスプレイの上にあるスピーカーの左側に黄色いランプが点滅するので分かりやすい。
受信音設定は用意されていない。GALAXY Sと同じく、アドレス帳に着信音設定はあるが、電話しか設定できない。また、Wi-Fiのみ利用時はEメールを受信できない。SIMなしの場合は基本的に緊急通報のみ利用できるので、メール自体にアクセスできない。
ソフトバンク Softbankメール(003SH):白戸家のコンテンツが豊富
001HTと同じくSoftBankメールという名称だが仕様が異なり、チャット風に表示することはできない。IS03と共通している部分も多いが、比較表からも分かるとおり、メールの最大送受信容量が2Mバイトで、受信の保存件数も3000件で多い。001HTにはないデコレメールにも対応しており、他機種の欠点を補っている。アドレス帳にはTwitterやmixiボイスの履歴が並ぶほか、送受信メールも同様に見られる。これはIS03にない特長で、視覚的に分かりやすい。
絵文字、デコレメール、テンプレートにも面白いコンテンツが充実している。テンプレートやマイ絵文字にソフトバンクのCMキャラクター白戸家のお兄ちゃんとお父さんが用意されており、思わず送ってみたくなる。ただしIS03と同じく、テンプレートは一覧から少々選びにくい。
受信時のランプはディスプレイの上に青いランプが光る仕組み。当然だがIS03と違ってメモリ液晶はないので、ディスプレイが消灯していても受信アイコンを見ることはできない。受信音の設定はIS03と同じく、アドレス帳ごとに指定できる。Wi-Fi利用時の動作は001HTと同じで、SIMなしでは緊急通報以外の機能は利用できない。
ソフトバンク SMS/MMS(iPhone):フォルダとデコレメールは非対応
iPhoneは早くからキャリアメールに対応していることでも知られる。添付できるファイルは最大300Kバイト。絵文字は使えるが、デコレメールには対応していない。絵文字はキーボードを切り替えて入力する。001HTに似たカテゴリーを画面下に表示するタイプで、絵文字の選択自体は簡単だ。なお、メールを受信していないか、最初にSMS/MMSを使うときは「新着MMS受信アプリ」でチェックをするといい。
送受信メール一覧には、001HTと同じくチャット形式のフキダシが並ぶが、フォルダ形式の表示に切り替えることはできない。したがって指定フォルダへの自動振り分けにも対応しないが、相手(メールアドレス)別にメールが自動的に分けられるので、以後届いたメールは、その相手ごとにまとまる。やり取りの履歴をひと目で確認できるので便利だ。フォルダではなくても、フォルダに求められている機能の一部は果たせていると考えていいだろう。
受信通知は、画面が表示されている状態であれば、プレビューが表示され、アイコンに受信数が付く。画面が消灯している状態で届くと、画面が数秒点灯し、プレビューが表示される(オフにもできる)。これでサッと内容を確認できるのが便利。受信音の設定は、「連絡先」で1人ずつ指定できる。Wi-Fi利用時も使えるが、3Gをオフにしている場合は使えない(送信の場合、文字入力まで可能)。SIMなしの場合は「電話番号なし」となって送信できない。
総合的には003SHが使いやすい
比較してみると、絵文字、デコレーションの選択が少々手間というだけで、設定が充実しているのはIS03と003SHだと感じた。特に送受信の容量が大きい003SHはオススメ。最大10Mバイトの送受信ができるspモードメールも魅力だ。10Mバイトもあれば、大きいサイズの写真を送ったり、1度にたくさんの写真を送ったりできる。仕事で使う際にも添付ファイルが大きいに超したことはないだろう(Gmailなどを使う人も多いだろが)。装飾メールの対応や着信音の個別設定など、ケータイメールに求められる機能をカバーし切れていないメーラーもあるので、今後のアップデートにも期待したい。
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