スマホ普及で公衆無線LANの利用も激増――新局面への布石を打つワイヤレスゲート(2/2 ページ)
MVNO形式の公衆無線LANサービスを展開するワイヤレスゲートが、ポイント制度やSNS連携を導入した新アプリをリリースした。トラフィックのオフロード先として再び注目を集める公衆無線LANについて、今後の展望を聞いた。
もう1つの手が、国際ローミングのスタートだ。同社は新WGConnectと同時に「WGConnect for Global」をリリース。こちらも現在はAndroid版のみだが、将来的にiPhone版やPC向けのアプリも提供するという。
ワイヤレスゲートはこれまでも、中国で限定的に国際ローミングを提供していたが、今回は全世界で無線LANスポットのインフラ構築を手がける米Aicentと提携したことで、対応スポットが海外20カ国約23万8000カ所へと拡大した。いうまでもなく、スマートフォンユーザーが増えたことで、海外渡航時の通信ニーズも高まってきているためだ。
「各キャリアで国際ローミング時のパケット定額プランを用意していますが、日本のように高速な携帯電話網が使えるエリアは少ない。空港やホテルでは無線LANのほうが確実に接続でき、高速というケースが多いですね。既存会員からも国際ローミングへの要望は多くありました。国際ローミングは無線LANの利用拡大はもちろん、ほかの事業者との差別化にもなると思います」(池田氏)
現時点で米国では利用できないが、「Aicentと交渉を進めており、できるだけ早く米国でも利用できるようにしたい」と原田氏は話す。国際ローミング時の通信料金は1分間20円の従量制だが、6月末まではキャンペーンとして通信料を無料で提供。別途、WirelessGateの月額料金が必要になる。
スマホ普及で無線LAN利用も爆発的に増加
無線LANと言えば、かつてはノートPCやポータブルゲーム機が利用するものというイメージだったが、現在はスマートフォンでも当たり前のように使われている。先述したようにケータイキャリアも無線LANスポットを充実させることで、ひっ迫する3G網から通信を逃がすオフロード施策を進めている。
池田氏は「スマートフォンなどモバイル機器の普及で無線LAN利用は爆発的に増えている」と明かす。ワイヤレスゲート自身はインフラを持っていないが、通信量などはモニターしており、その増え方には目を見張るという。携帯電話の3G通信ではユーザーの増加で速度の低下や通信障害の多発が話題になるが、公衆無線LANのユーザーが増えても、サービス品質に問題は出ないのだろうか。
「無線LANはブロードバンドを支えるインフラとして発達してきましたから、そこはまったく問題ないですね。PCのWebブラウジングやHD動画のダウンロードに比べると、スマートフォンの通信量はかなり負荷が小さいです。1つのスポットを大勢のユーザーで使うと速度は変動しますが、例えばVoIPアプリの利用が増えても、バックボーンへの影響はほとんどありません」(池田氏)
同社には『速度が遅い』という内容よりも、『ここにスポットを置いて欲しい』というエリアの追加要望が多いという。携帯電話やWiMAXと違い、“点”でエリア展開する無線LANの宿命といえるかもしれない。とはいえ、通信規格の違いを気にせずにネットを利用できるのがスマートフォンの利点でもある。3Gから無線LANへのオフロードをきっかけに、今まで以上にエリア整備が進むことは間違いない。
ワイヤレスゲートは無線LANだけでなく、WiMAXのMVNO事業も行っている。また、LTEのMVNOにも参入を検討中だ。最後に、これからのモバイル・ワイヤレス通信事業の展望について尋ねてみた。
「今後も、我々(ワイヤレスゲート)が直接インフラを持つことはありません。また、現時点で提携しているインフラ企業との関係が変わることもないでしょう。携帯電話の通信規格が高速化しても、無線LANがそれを支える構図はしばらくは変わらないと思います。ただ、公衆無線LAN市場に参入するプレーヤーが多岐に渡ってきていることは確かです。ポイント制度やSNS連携の導入、国際ローミングの開始などで、まずはしっかりと差別化を図りたいですね。WiMAXのMVNO事業も好調ですし、LTEのMVNOも検討中です。こだわっているわけではありませんが、今後も無線LANが事業の中核にあり続けると思います」(池田氏)
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