江戸時代に“乗換案内”があったら? 徒歩・馬・カゴ・飛脚で旅程を検索できる「経路検索マップ」が話題

 江戸時代の主要街道を、現代の経路検索アプリのように検索できるWebサイト「江戸時代の経路検索」が、Xで話題になっている。制作者は、位置情報技術を手掛ける会社MIERUNE(札幌市)勤務のグラフィックデザイナーの「地図とかデザインとか」さん。同氏が8月29日に投稿した公開報告は、9月2日時点で4万件超の「いいね」を集めている。

公開を報告する地図とかデザインとかさんの投稿
江戸時代の経路検索の画面。全国の主要街道と宿場を収録する(出典:江戸時代の経路検索より、以下同)

 サイトでは、出発地と目的地を選ぶと、通る街道とルート、経由する宿場、所要日数を表示する。移動手段は徒歩・馬・早駕籠・継飛脚の4つから選択可能。例えば江戸(日本橋)から京都(三条大橋)まで徒歩で向かう場合、東海道経由で14日、中山道経由で16日と計算し、途中どこで泊まるかも分かる。当時の記録では東海道の旅は13〜15日ほどかかったとされ、おおよそ一致するという。

日本橋から三条大橋まで徒歩で検索した結果。東海道経由で14日と表示
経路ごとの比較。甲州道中・中山道経由は15日、中山道経由は16日

 移動手段を切り替えると、日数の差も一目で分かる。記者が日本橋〜三条大橋間を継飛脚で検索したところ、所要日数は4日と表示され、徒歩より10日ほど短い計算になった。継飛脚は「普通便」「お急ぎ便」「超特急便」の3段階から速さを選べ、超特急便は1日53里で進む設定だ。

 日数は距離を単純に割って求めたものではないという。徒歩は1日10里(約40km)を基準に「ゆっくり(9里)/ふつう(10里)/急いで(11里)」の3段階を用意。馬は、庶民が使った馬子が引く「引き馬」(1日12里)と、武士だけが認められた「早馬」(同15里)に分けた。早駕籠は通常(同28里)と特急(同38里)の2段階で、宿場ごとに走者を替えて書状を運ぶ継飛脚が最速となる。

継飛脚で検索した結果。東海道経由で4日と徒歩より10日ほど短い

 山道の負荷も織り込んだ。国土地理院の標高データから経路上の勾配を計算し、登った分を平地換算で距離に加算する仕組み。例えば沼津宿から小田原宿までは37kmだが、箱根峠越えを勘案すると49km相当となり、1日では到達できない区間と判定する。

 宿泊地の計算には、行けるところまで進む「貪欲法」を採用した。1日の目安距離に最も近い宿場で区切り、宿場間が長い区間では1日先の負担も見て自然な区切りになるよう調整したという。

日本橋から箱根宿までの検索結果。箱根峠越えで標高が一気に上がる様子が分かる

 検索結果では経路の標高断面図も確認できる。京都から名古屋までを検索すると、道中の高低差に加え、桑名宿から宮宿まで船で渡る東海道の「七里の渡し」を経路に組み込んで表示するなど、江戸時代ならではの道のりも再現している。

京都から名古屋までの検索結果。標高断面図のほか、船で渡る「七里の渡し」も経路に含む

 見た目は伊能忠敬の「伊能図」を参考にした。海岸線から沖へ青がにじんでいく描き方を再現するため、海岸線からの距離に応じて色を塗る方式を取ったとしている。

 街道と宿場のデータには、ROIS-DS人文学オープンデータ共同利用センター(CODH)がMIERUNEと共同開発し公開した「江戸主要街道データセット」「江戸宿場データセット」を使用した。現在収録している街道は47本で、今後はデータセットを拡充し、他の街道や海路も増やす方針だ。

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