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中高生版Twitter? ケータイ「リアル」をのぞいて驚いた(2/2 ページ)

» 2009年03月06日 20時44分 公開
[岡田有花,ITmedia]
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画像 Twitterに近いと言われるが……

 Twitterは、インスタントメッセンジャーのステータス機能を切り出したようなサービスとして、プラットフォームが先に生まれ、140文字までという絶妙な制限と、簡単な投稿フォームや、APIを活用してユーザーがクライアントソフトを公開するなどした結果、日常のひとことを気軽に更新するというコミュニケーション文化が盛り上がって定着した──という印象を記者は持っている。

 リアルの場合逆だ。プラットフォームはブログとほとんど同じで目新しさはないが、「リアルタイムに更新する」というスタイルが先にあった。10代のユーザーは一般の携帯ブログや日記サービスをリアル用に駆使し、時には「ブログ」や「日記」というメニューを「リアル」と書き換えてまで利用しているのがその証左。そのベースには、1日に数十通をやりとりするのが当たり前というメール文化があるように思う。

10代の“創造力”に脱帽

 プラットフォームを提供する“大人”が想定した枠を超え、ユーザーが使い方を発明して広げていく――10代に人気の携帯コミュニティーでは、よく見られる光景だ。

 「前略プロフィール」が好例だろう。プロフィールを作るだけのシンプルなサービスだったはずが、10代のユーザーは、「プロフィールをどんどん更新し、近況を伝えていく」という使い方を“発明”。事業者も知らないうちに口コミで広がり、コミュニケーションインフラになっていった(「プロフ」はもうかるビジネスか 流行った理由は「誰も分からない」)。

 モバゲータウンでも、サービスの枠をはみ出す使い方をユーザーが発明している。例えば、最近は「日記のプロフ化」「日記の伝言板化」が当たり前になってきている。

 モバゲーのユーザープロフィールページは、年齢や血液型、誕生日など項目がシンプルな分、不十分に感じるユーザーもいるようだ。そこで、ニックネームや好きな歌手、趣味など、詳細な自己紹介を日記に書き込み、ユーザートップページから直接リンクを貼って「プロフ」として紹介しているのだ。

画像 モバゲーには伝言板を閉鎖する機能がない。伝言板を使いたくない場合は、友達に呼び掛けて「封鎖」と書いてもらうことで“封鎖”する。もちろん、本当に封鎖されたわけではないので、書き込みは可能だが、書き込んだ人は、そのユーザーや仲間たちから「ブラリ」(ブラックリスト)に入れられて“ハブ”にされる

 日記のコメント欄を伝言板に“改造”しているユーザーも多い。ユーザーは「伝言板」という個人掲示板を自分のページに持てるが、最新の数個のレスしか残らないという制限がある上、荒らされやすい。そこで、開設した伝言板は「封鎖」(友人などに「封鎖しました」というエントリーで埋め尽くしてもらう)した上で、「ここは伝言板です」と記した日記を書いておく。日記のレス機能には制限がないため、伝言板よりも便利に使えるというわけだ。機能制限をかいくぐるユーザーの知恵が広まっている。

 10代に人気のネットコミュニケーションサービスは、「ネットいじめの温床」などネガティブにとらえられがちだ。だが子どもたちは、サービス提供者の大人が思いもよらない使い方を発明して主体的にサービスを再構築し、居心地のいいネット空間を作っている。

 大人の提供するネット空間は、子どもたちの発想のスピードやコミュニケーションの豊かさに付いて行けていないのでは――10代の携帯コミュニケーションを見て、記者はそう感じた。

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