「日本に強いシステムLSIメーカーを作るべきだ」 NECエレ・ルネサスが統合へ
「システムLSIは産業のコメであり、日本の産業全体に影響を及ぼす。システムLSIだけは日本に強いメーカーを作るべきだ」──NECエレクトロニクスとルネサステクノロジが来年4月の統合を目指して協議を開始することを発表した記者会見で、NECの矢野薫社長はこう話した。
新会社はNECエレを存続会社として上場を維持する一方、各親会社の連結対象から外れ、NEC、日立、三菱は新会社を持分法適用関連会社とする方向で検討を進める(NECエレとルネサスが来春めどに統合へ 世界3位の半導体メーカーに)。関連会社になればNECの連結業績にも大きな影響が出るが、矢野社長は「半導体メーカーは厳しい環境に置かれている」と、供給過剰と世界同時不況にあえぐ半導体市場の苦境が大型統合の決断を迫ったと説明した。
統合後新会社は、売上高の単純合算で米Intel、韓国Samsung Electronicsに次ぐ世界3位となり、現在3位の東芝を抜いて国内トップの半導体メーカーになる。新会社の合計市場シェアは、マイコンで世界1位(31%)、液晶ドライバで世界2位(17%)、ASICで世界4位(9%)など。システムLSI、マイコン、個別半導体が収益を稼ぎ出す三本柱だ。
両社が力を入れてきたシステムLSIでは、NECエレがレコーダーなどのデジタル家電向けに強く、ルネサスはNTTドコモや端末メーカーと「SH-Mobile G」シリーズを共同開発するなど、携帯電話や車載向けに実績を持つ。マイコンは世界シェア1位と2位を両社で分け合ってきた得意分野でもあり、個別半導体は今後、マイコンと相乗効果が見込めるアナログディスクリート開発を強化していく。
ただ、両社はこの三本柱で市場競争を繰り広げてきたライバル同士だ。相互補完などが見えにくく、統合効果を疑問視する指摘もあるが、NECエレクトロニクスの中島俊雄社長は「統合で強い部分をより強くできることもある。一番戦ってきた相手だからこそお互いの価値と実力を評価しあうことができ、スムーズに話が動いた」という。将来の製品統合について、ルネサスの赤尾泰社長は「マイコンは製品寿命が10年を超えるものもあり、慎重な検討が必要だ」と話す。
ただ、統合は両社の抜本的な構造改革が前提だ。「赤字でスタートする計画はありえない」(中島社長)として、両社合計で08年度実績から2000億円の固定費削減を目指す構造改革を断行。単独でも生き残れるほどの収益性の回復に全力を挙げる。「この1年が正念場だ」(三菱電機の下村節宏社長)
両社とも、先端プロセス開発では他社と協業しており、NECエレは東芝など、ルネサスはパナソニックと共同開発を進めてきた。ルネサスの赤尾社長は「現在続いているものはそのまま進める。25ナノメートル以降については、統合後、製品や生産をどうしていくか検討した上で考えていく」とした。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
こんなメディアも見られています
ITmedia NEWSに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
SpecialPR
本日の新着記事
アクセスランキング
-
1
防衛省の「クーラー300台」投稿動画でビックカメラのトラックが注目を集める 同社「販売用の在庫を迅速に提供」
-
2
ドコモ、ahamoを30→40GBに増量 8月1日から 料金据え置きの新キャンペーン
-
3
セブン&アイ、共通会員IDのPayPay統合を正式発表 ソフトバンクや三井住友カードなどが計3000億円出資
-
4
一般消費者が「空調服」と書いたら商標権侵害? 公式Xの注意喚起が波紋、弁理士の見解は
-
5
ソニー、タムロン買収提案の狙いを説明 「イメージング事業の発展につながる」
-
6
「文スト」スマホゲーム、きょう告知→あす終了 突然のサ終にユーザー混乱 運営元の廃業で
-
7
農水省の“クソダサ”ポスター話題 「AIよりよっぽど良い」の声も 担当者に狙いを聞いた
-
8
タカラトミー、デュエマアプリで個人情報漏えいか 最大15万5000人分 氏名や住所など閲覧の恐れ
-
9
「楽天ドライブ」アプリから「データ漏洩」「ハッキングした」通知? 運営元「緊急調査中」「通知を開かないで」
-
10
ソニーの熊本工場、8月中旬には「地震前の稼働水準」に 早期復旧の理由を決算会見で明かす
ITmedia NEWS SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
ITmediaNEWSをフォロー
あなたにおすすめの記事PR