7月22日に開幕した「ワイヤレスジャパン」(東京ビッグサイト、24日まで)では、NTTドコモとKDDIが拡張現実(AR)アプリのデモを行っていた。現実空間を映した映像の上に情報を表示する典型的なARアプリのほか、投げる動作でメールを送信するものなどもあり、多くの来場者が足を止めて実際に試すなど、関心を集めていた。
ドコモは、ARアプリを使ったサービスとして「直感検索・ナビ」「友達レーダー」「投げメール」を紹介していた。それぞれ、GPS、地磁気センサー、カメラを利用し、現実空間の上にさまざまな情報を重ねて表示できる。
直感検索・ナビは、携帯カメラでとらえた現実の風景の上に、かざした方向にある店舗やランドマークをアイコンとして表示するサービスだ。
同じ方角に複数の店舗がある場合、「飲食店」などの大枠や「ファストフード」などの細かいジャンルでまとめ、クリックをして階層を下がっていけば、店舗ごとの詳細情報を表示。階層を掘って店舗情報を出すことで大量の情報でも見やすく工夫した。
表示されたアイコンの中から行きたい店を選ぶと、目的地までのルート案内をする機能も。画面に映した風景の上に矢印などを表示し、方角や距離をナビゲーションする。
友達レーダーは、2キロ先にいる友人の位置を、現実空間に重ねて風船型のアイコンで表示する。「風船を持っている子どもは人混みで見つけやすいことから、風船型にした」(担当者)という。
投げメールは、モーションセンサーと位置情報を利用したサービスで、携帯電話を投げるように振ることで、向いている方向にメールを送れるというものだ。投げ方によって、メールが飛んでいく距離も変化。大きく振れば遠くへ飛ぶ。
投げたメールは、送信者が指定したユーザーのみ読むことが可能。受け取り手がARアプリを通して現実空間を見ると、メールが“落ちた”位置にアイコンが表示され、クリックすれば“拾って”読める。アプリを「地図を表示する」モードに切り替えれば、現在地から遠い場所に落ちたメールでも読むことができる。
「位置情報の見せ方を工夫してもっと面白いコミュニケーションツールを作れるのでは」という発想から生まれたという。
それぞれ、実用化の時期は未定。「ユーザーから、ここをこうしたらもっと良くなる、という強い声をいただきたい」としている。
22日から先着1000人に、直感検索などを利用できるお試しアプリの配布もしている。携帯電話向けWebサイト「みんなのドコモ研究室」からダウンロードできる。
KDDIのブースでは、携帯電話をかざした先にある観光地などの情報を、仮想空間上に表示するARアプリ「実空間透視ケータイ」のデモを行っていた。
すでに公開済みのサービスで、一部の機能は「au one ラボ」からアプリをダウンロードして試せる。会場ではau one ラボで未公開のサービスのデモも行っており、来場者は端末を手に取り、画面越しに周囲をぐるぐると見回していた。
6軸センサーとGPSの位置測定機能を利用し、携帯をかざした位置と方向を把握。現実の位置情報と連動した仮想空間上に、その場所で撮影した写真などを表示する仕組みだ。
旅行やイベントで撮影した写真を仮想空間内に保存できる「地球アルバム(β)」や、旅行のクチコミサイト「フォートラベル」と連携した「トラベルビューア(β)」、周囲のランドマークやビルを表示し、目的地を指定すると「RIGHT」や「LEFT」など簡単なナビゲーションをする「MAWARIPO×実空間透視ケータイ」のデモを行っていた。
サービスの商用化は未定。商用化するなら「KDDIは、プラットフォームを提供し、地図上に公開できるコンテンツを持っている企業にビジネスにつなげてもらうイメージ」という。
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