サイバーエージェント子会社・プーペガールが運営するコミュニティーサイト「プーペガール」には、ユーザーが投稿した服や小物などファッションアイテムの写真が1300万点集まっている。写真はブランドごとに整理されており、さながら、ユーザー投稿型のファッションデータベースだ。
2007年2月にオープンし、口コミでユーザーが拡大。登録ユーザー数は50万で、98%が女性だ。海外にも口コミで広がり、全体の35%を海外ユーザーが占める。
ユーザーを引き付け、投稿に駆り立てたのは、「プーペ」と呼ばれるアバターだ。手持ちの服の写真を投稿するほどプーペをかわいくできる仕組みで、ユーザーの投稿意欲をかき立てた。
サイトはアバターシステムとSNSを融合した作りで、女性のファッションとコミュニケーションへの欲求を満たしている。
ユーザーは、写真投稿でもらえる仮想通貨「リボン」や有料の仮想通貨「ジュエル」を使い、プーペに着せる服を買ったり、「クリニック」に行ってプーペの顔を変えたりしながらオシャレ度を磨く。
コミュニケーション機能も満載。ユーザートップページはSNSのようになっており、お気に入りユーザーをファン登録して「ファンプペ」になったり、お互いファン登録して「プペとも」になることも可能だ。
ほかのユーザーのファッションアイテムが気に入れば、「ステキ」ボタンを押して褒めたり、コメントを付けることもできる。Twitterのようにつぶやく「ひとことカフェ」でプペともを募ったり、不要になったアバターアイテムを売る「フリマ」で交流したり、かわいいプーペをみんなで選ぶ「プペコン」に参加することも可能。“女子”同士のコミュニケーションが盛んに行われている。
開発は、サイバーエージェント内のラボで、女性をテーマにしたサービスを作ろうとスタートした。「女性が集まる場は広告主にとっても魅力的。女性に特化したCGMサイトを作ろうと考え、当時なかった、ファッション情報を総合的に集められるサイトにした」と、プーペガールの森永佳未社長は話す。
着せ替え人形「プーペ」を発案したのは、ファッション写真の投稿を促し、充実したファッションデータベースを構築するため。「人形を愛でるのは女性の原点」――写真を投稿するればするほど人形をかわいくできる仕組みで投稿を促進しようと考えた。米国で流行している着せ替え人形「アメリカンガール」から着想したという。
若い女性が好むデザインを目指し、重ね着できるシステムも組み込んだ。「女性は、かわいいかかわいくないかで判断して、かわいくないと思ったら二度と来ない」ため、プーペのデザインには細部までこだわったという。
ユーザーは、口コミと、プーペをブログに貼り付けられるブログパーツ経由で拡大。オープンから2年半あまりで50万ユーザーを突破した。
国内向けとして開発したサービスだが、女性のファッションへの興味は万国共通。海外ユーザーも取り込めるかもしれないと当初から英語のユーザーインタフェースを用意していたところ、実際に海外ユーザーを引き付け、今や35%が海外からのアクセスだ。内訳は英語圏が13%、ポルトガル語圏が7%、スペイン語圏が6%、中国語圏が4%、ドイツ語圏が2%という。
「海外ユーザーの最初の1人はおそらくブログパーツから流入してきたのではないかと思う」が、海外SNSにプーペガールのコミュニティーができたことで急増。「日本の『カワイイ』は海外でも人気。海外に発信しても通用するものなのだなと思った」
海外からの参加者が増えることで、コミュニティーが活性化したという。「自分の服を見せたいという欲求が強い」という海外ユーザーが服や小物の写真を積極的に投稿することで、「コミュニティーの中にどんどん服を投稿しようという空気が生まれた」
日本ユーザー同士も、「かわいいですね」「わたしもこれ、欲しかったんだー」などコメントで交流しているが、海外ユーザーはさらに積極的。面識がないユーザー同士でも、「Cute」「Pretty」と気軽にコメントを付ける人が多いという。
書き込みは母語で行っているユーザーが多く、サイトには英語、中国語、スペイン語など、さまざまな言語が飛び交う。日本語でプロフィールを書いたりコミュニケーションを取っている海外ユーザーもいる。
翻訳ソフトで翻訳したものをそのまま載せているケースが多いが、ユーザーが自ら書いているケースもあるようで、「日本語勉強中です」とプロフィールに書いている人も。美しい日本語を操り、通しか知らないようなあだ名で好きな日本の芸能人について語っているユーザーもいるなど、ユーザーの日本語レベルはさまざまだ。
サイトの主な収入源は、バナー広告やタイアップ広告と、有料アバターアイテムだ。
タイアップ広告は、クライアントがプロモーションしたい商材を、サイト内の仮想店舗で販売するというもので、これまで化粧品ブランド「LANCOME」やファッションブランドの「COACH」「ルイ・ヴィトン」とのタイアップを実施。課金と広告を合わせ、「ぼちぼち黒字化できている」という。
今後は、1300万点におよぶファッションアイテムの写真データベース「オシャレじてん」や、集まった口コミを生かしたビジネスも検討しているという。
海外での人気を踏まえ、今年8月には、プーペガールに投稿した写真をTwitterやFacebookにも投稿できる機能を追加した。今年12月には、ニンテンドーDS用ソフト「プーペガールDS」も発売する。
今後は、「世界中のいろんな人のクローゼットをのぞける場にしていたい」という。「女性の思いが詰まっているサイトとして認識してもらうのが目標」だ。
「ファッションは女性にとって、裸にならないという以上の意味がある。その日の服装によって気分まで明るくなったり逆もある。そういう女性にとって大きな意味をもつ大切な部分を、便利に利用できるサービスに携われてうれしい」(森永社長)
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