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機器内配線をワイヤレス化 ソニー、ミリ波伝送技術を開発

» 2010年02月08日 20時23分 公開
[ITmedia]

 ソニーは2月8日、テレビなど電子機器内部で、データを高速に無線伝送する「機器内高速ワイヤレス伝送技術」を開発したと発表した。機器内の配線をワイヤレスに置き換えることで、基板やICの小型化や低コスト化、可動部や着脱部の信頼性向上が可能になるとしている。

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 通信・放送分野の商品開発で培ってきた高周波技術を応用。高速データ伝送が可能で、小さなアンテナでワイヤレス伝送できるミリ波(周波数30〜300GHz、波長1〜10ミリメートル)を採用した。ミリ波による機器内高速ワイヤレス伝送技術の開発は世界初という。

 低消費電力のミリ波伝送回路を、送受信あわせて0.13平方ミリメートル面積に収め、40ナノメートルCMOSプロセスによるLSI上に搭載。約1ミリの小型アンテナを使い、14ミリの距離で11Gbpsの高速伝送を実現した。回路、アンテナとも小型なため、大規模システムLSIに低コストで組み込んで1チップ化できるのが特徴だ。

 低消費電力で十分な距離を伝送するには、受信器を送信周波数に同期させる「同期検波」が有効だが、同期検波に広く使われているPLL(Phase Locked Loop)をミリ波に適用すると、回路規模が大きくなるという課題があった。新技術では受信回路に「注入同期方式」を採用。小規模な回路で、低消費電力と機器内伝送に必要十分な伝送距離を両立させた。

 成果は、半導体に関する国際会議「ISSCC 2010」(2月11日まで、米国サンフランシスコ)で学会発表する。

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