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初音ミクついに宇宙へ! 「あかつき」打ち上げ成功フォトリポート

» 2010年05月21日 14時16分 公開
[森岡澄夫,ITmedia]
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 初音ミクファンや「あかつき」「IKAROS」開発関係者など、たくさんの人の思いを積んだH-IIA型ロケット17号機は、5月21日午前6時58分22秒、種子島宇宙センター(鹿児島県南種子町)から離昇し、無事に金星へ旅立った。

 H-IIAロケットには、金星探査機「あかつき」とソーラー電力セイル「IKAROS」(イカロス)を搭載。あかつきに積まれた90枚のパネルには、26万人(うち1万4000人分がミクファンのもの)の応援メッセージが刻まれている(初音ミク「あかつき」に搭乗! 種子島で実機を見てきた)。

 18日の打ち上げが延期された後、種子島は大雨など悪天候が続いたが、21日に入ると天候は回復に向かい、明け方ごろにはH-IIAの飛翔コースに青空が見えるようになった。宇宙センターは強風の吹くことが多い海岸沿いにあるが、21日はほとんど無風の穏やかな打ち上げ日和となり、カウントダウンは問題なく進行した。


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 報道スタンドから約3キロ先にあるH-IIAロケットは、これまで打ち上げられてきた機体とコンフィギュレーションがおおむね同じ。テレビ画面などに映る姿も見慣れたものだ。しかし、その先端には、JAXA相模原キャンパスや種子島で筆者が目の当たりにした「あかつき」「IKAROS」、そして長く関わってきたミクパネルが乗っていると思うと、何度もロケット打ち上げを見た経験がある筆者も、カウントがゼロに近づくにつれて冷静ではいられなくなってきた。

 カウント・ゼロ。直前まで変化のなかったロケットは突然オレンジに光り輝くまぶしい炎を吐き出し(残念ながら、テレビ映像や写真ではまったく再現できていない)、ゆっくり離昇を開始した。ロケットが発射塔をクリアしてしばらく経ったとき、力強い低音の衝撃波が報道スタンドに到達。ロケットの吐き出す生々しいパワーは報道スタンドを揺さぶり、筆者がつかまっていた手すりがビリビリと振動した(打ち上げ時に録音した音声)。

 ロケットは報道スタンドからやや右手(東側)の方向へまっすぐに駆け上がって行き、1分ほどで雲に突入したが、その後しばらく雲の合間に姿を見ることができた。

 ロケットの姿が見えなくなると見学者は徐々に引き上げていったが、筆者が安心できたのは「あかつき」「IKAROS」や小型衛星の無事切り離しが確認されてからである。初音ミク、そして多くの人達の努力と熱意の結晶は、金星へ向かっていった。打ち上げ後に高空に残るロケットの噴射雲が、充実感と余韻を漂わせていた。

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 最後に、個人的ではあるが筆者からのメッセージを記して本稿のまとめとしたい。

 金星ミクは遊び心主体の計画とは言え、メッセージをいただいた方々、活動をアピールいただいた方々、快く「あかつき」への搭載を進めてくださった宇宙航空研究開発機構(JAXA)の阪本成一教授、今村剛助教授など、非常に多くの方々にお世話になりました。誠に有難うございました。

 金星へ向かった「あかつき」「IKAROS」、小型衛星のこれからの活躍を心から祈ります。

 補足:「あかつき」は衛星の寿命が切れた後も、ほぼ半永久的とも言える長期間、金星を回り続けるそうです。

森岡澄夫

 ニコニコ技術部で「超電磁P」という名で物作りをする本職のLSI研究者。

 ささやかでも宇宙に自ら関わってみたいと思い続けている。Twitterアカウントは@chodenzi個人サイト


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