米Microsoftのスティーブ・バルマーCEOは7月29日(現地時間)に行った同社のアナリスト向け年次会議の基調講演で、ことわざを引用して米Googleをからかった。とはいえ、同氏はMicrosoftの検索エンジン「Bing」が、検索エンジン市場シェアでこのライバルに大きく水をあけられていることも認めた。
バルマー氏は集まったアナリストを前に「Bingの視覚的差別化がGoogleの心配の種になっているのを知って喜んでいる」と語り、Bingのカラフルなトップページの背景について、「Googleがわれわれのまねをしてくれてうれしい。“まねをするのは褒めること”だと思う」と述べた。
それでも同氏は次のように付け加えた。「われわれは混乱しているわけではない。検索に関してやるべきことは多い。投資家たちが検索事業への参入を高くつくと見ており、『あの事業は成長しているのか?』と言っていることは理解している」
Bingは2009年夏の立ち上げ以来、着実にユーザー数を伸ばしてはいるが、9.85%という同社の米国での市場シェア(米調査会社Experian Hitwise調べ)は、Googleの71.65%に大きく後れを取っている。Microsoftのオンラインサービス部門の前期売上高は5億6500万ドルに増えたが、同時に6億9600万ドルという大幅な営業損失を出している。
「だからこそわれわれは突き進んでいる。すぐに業績に反映させられるとは言えないが、引き続き非常に興味深い成果を示していくと断言する。Bingはかなり話題になっている」(バルマー氏)
MicrosoftはGoogleに挑戦する際、伝統的なキーワード検索という領域での直接対決を挑むのではなく、同社のある幹部が“非伝統的領域”と名付けたイベント駆動型タスクや商品検索などにリソースを投入する戦略を選んだ。データを見る限り、この戦略は功を奏しているようだ。Hitwiseの報告によると、Bingは幾つかの垂直産業分野で強い伸びを見せており、米国の旅行、ショッピング、自動車、ヘルスケアサイトへのBingからのトラフィック流入が、前年比で2けたあるいは3けたの割合で増えているという。
Bing担当ディレクターのステファン・ワイツ氏は3月、eWEEKの取材に対し、「ユーザーがWebそのものをどのように利用しているのか、そしてWebがどのように変化しているのかを考えれば、これらの検索エンジンを使ってできることを拡大できる。われわれが特に注目しているエキサイティングな領域は、検索の可能性をいかに拡大するかということだ」と語った。
Bingは最近、この戦略をマスメディアに拡大した。6月に、音楽、映画、テレビ番組、ゲームに関する検索結果や情報を提供する「エンターテインメント」タブを追加したのだ。このタブからは、MicrosoftのZuneサービス経由で音楽を聴いたり、無料のカジュアルゲームで遊ぶこともできる。バルマー氏のアナリスト会議での発言は、この機能追加が特定のユーザー層にアピールしたであろうことを示している。
「現在Bingを使っているのは、平均的な検索エンジンユーザーより若い層だ。Bingが若いユーザーに受け入れられているのは喜ばしいことだ」(バルマー氏)
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