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GPSをもっと正確に――準天頂衛星「みちびき」、打ち上げへ

» 2010年08月20日 07時00分 公開
[ITmedia]
画像 JAXAのみちびき特設サイト

 宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、準天頂衛星初号機「みちびき」を、9月11日に種子島宇宙センター(鹿児島県)で打ち上げる。日本のほぼ真上(準天頂)に見える衛星で、米国の衛星測位システムであるGPSを使った測位の精度を向上させるための実証機だ。

 GPS信号を受信して三次元測位を行うためには、衛星4機以上が同時に見えている必要がある。だが日本は山間部やビルの谷間などで信号が届きにくかったり、測位できない時間帯があったり、信号が届くまでに時間がかかるといった課題があった。

 みちびきは、日本の真上を通過しつつ地球の自転周期と同じ23時間56分で1周する軌道を周回する。みちびきが発信するGPS補完信号は、障害物の少ない真上から受信できるため、GPS測位精度を高めたり、GPS信号を受信機が捕捉するまでの時間を短縮できる。測位精度は、GPSのみの場合10メートル程度だが、みちびきを使うと1メートル以下に向上。測位可能時間は約90%から99.8%に、受信機の電源を入れてからの捕捉時間は、30秒〜1分程度が15秒程度に短縮されるという。

 当初8月の打ち上げを予定していたが、機器の不具合で9月に延期になっていた。8月19日現在、種子島宇宙センターで燃料の補充が完了。9月11日に打ち上げる予定だ。打ち上げ約2週間後に準天頂軌道に投入を完了し、約3カ月後に各種実証実験をスタートする。

画像 赤青メガネで立体的に見えるスクリーンセイバーや「超精巧ペーパークラフト」の型紙などを公開しているサイト「QZ-vision」

 衛星測位システムは、米国のGPSとロシアの「GLONASS」が実用化済みだ。実用化前のシステムとしては、EUが05年、「Galileo」の実証実験をスタート。中国やインドも開発を進めており、「衛星測位システム開発が旬を迎えている。世界中の宇宙先進国が衛星測位システムを整備している中、日本も負けないでやっている」と、JAXAの寺田弘慈プロジェクトマネージャーと意気込んでいる。

 JAXAは特設サイトでみちびきのプロジェクトの詳細を解説しているほか、Twitterアカウント「QZSS」で随時、情報を更新。みちびきで観測したデータを公開するサイト「QZ-Vision」では「予告編」として、みちびきの「超精巧ペーパークラフト」の型紙や、赤青メガネをかけて見ると立体的に見える打ち上げカウントダウンスクリーンセイバーなどを配布している。打ち上げの様子はJAXA放送でライブ配信する予定だ。

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