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電子書籍の海賊版「Appleに重大な責任」「それ自体違法」 出版4団体が強く抗議

» 2010年12月14日 17時23分 公開
[ITmedia]

 小説や漫画の海賊版と見られるアプリが「App Store」で販売されている問題で、日本書籍出版協会(理事長:相賀昌宏小学館社長)など4団体は12月14日、米Appleに「重大な責任がある」として、海賊版に関する情報開示と防止策の構築を求める声明(PDF)を発表した。

 4団体は日本書籍出版協会のほか、日本雑誌協会(理事長:上野徹文芸春秋会長)、日本電子書籍出版社協会(代表理事:野間省伸講談社副社長)、デジタルコミック協議会(理事長:入江祥雄講談社取締役)。

 App Storeでは、村上春樹さん、東野圭吾さんらの人気作や漫画を無断で電子書籍化したと見られるアプリの販売が相次ぎ発覚している(今度は日本語 「1Q84」海賊版、またiTunesに電子書籍だけじゃない 無断転載の海賊版アプリ、iTunesで横行

画像 村上春樹さんの「世界の終わりとハードボイルドワンダーランド」の海賊版もあった

 声明では、Appleに対し海賊版の削除を要請したものの、大半の違法配信は続いていると指摘。Appleはアプリ提供者と著作権者との間で問題を解決すべきという姿勢だが、「海賊版の提供者はもともと確信犯であり、権利処理を行う意思など初めから有していないのが実情」。Appleが海賊版アプリを配信することは「違法行為のほう助であり、それ自体が違法と判断せざるを得ない」と強く非難している。

 書籍の海賊版はスキャンなどで複製されたものであり、「著者もしくは出版社が提供者でない限り、その適法性は強く疑われるべきもの」と指摘。アプリの内容については事前審査しながら、「明白な著作権侵害行為をチェックできないとは到底納得できかねる」としている。

 またAppleが有料の海賊版アプリの配信によって利益を得ているにも関わらず、販売データを開示していないことや、削除要請窓口、削除手順を公開していない点についても言及。情報開示と防止策の構築に着手するよう求めている。

 対策を求める一方で、「出版社側の協力が必要であれば、サポートを惜しむものではない。むしろ同じテーブルを囲み、ともにデジタル・ネットワーク時代の新たなルール作りに取り組んでいきたい」ともコメント。「Appleに責任ある対応を改めて強く要請する」としている。

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