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言葉を紡ぐ職業は消えない?Weekly Access Top10

» 2015年12月21日 19時46分 公開
[片渕陽平ITmedia]

 ランクインこそ逃しましたが、先週の気になった記事は「ゼロから小説のあらすじ作れるソフト、芝浦工大が開発 何から書けばいいのか分からない初心者でも容易に」。

 このコラムもそうですが、「何から書いて良いのか分からない」となりがちな僕にとっては朗報です……! 実際に学生10人に使ってもらったところ、従来の半分以下の時間でスムーズに創作できた――と、とても効率が良さそうじゃないですか。

 ただ、こうも簡単に物語が書けるようになると、これからの小説はどうなるのでしょうか。もしかすると皆が全員、文豪になれるかも……などと甘い期待を抱いたのですが、少し考えてみて「そう上手くはいかないのでは」という結論に至りました。

 例えば「国境の長いトンネルを抜けると雪国であった。トンネルの夜の底が白くなった」(川端康成「雪国」より)。人から人へと伝わる間に、文字が景色に変換され、聞き手の中で再構築される――そんな文章は短時間には書けないような気がしたのです。少なくとも、日本語というバックグラウンドを共有する必要があると思いますし。

 最近も「10〜20年後には労働人口の大半がロボットに代替される」と話題になりましたが、テクノロジーの進化には期待しつつも、どこか日本語を紡ぐ作業は、まだまだ“人間の必要性”があるかも――と、考えさせられた記事でした。

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