ところで、Amazonのタブレット「Fire」シリーズを持っていなければ、AmazonにAndroidアプリストアがあることすら知らないかも。
FireタブレットはAndroidベースなのです。ほとんどのAndroid端末は「Googleモバイルサービス」(GMS)対応なのでGoogleの公式アプリストア、Google Playストアからアプリをダウンロードできますが、AmazonはFireシリーズをGMSに対応させずに独自アプリストアを展開する道を選び、独自のエコシステム構築を目指しました。
なお、AmazonのアプリストアのアプリをAndroidスマートフォンにダウンロードすることはできます。Googleにとっては(今話題の)「サイドローディング」に当たりますが。
サイドローディングというのは、公式アプリストア以外からアプリをダウンロードすることです。日本ではサイドローディングしたアプリを「野良アプリ」などと呼びます。GoogleはAppleと違ってサイドローディングを認めています。
公式アプリストアに登録せずに自分のWebサイトなどでアプリを提供する開発者側のメリットは、なんと言ってもGoogleに手数料を払わなくて済むことです。
ユーザー側にとっても問題はなさそうですが、マルウェア(Googleは「有害な可能性があるアプリ(PHA)」とも呼んでいます)を掴まされる可能性は公式アプリストアより高くなります。公式アプリストアはマルウェアの侵入を防ぐためにかなり厳重に監視しているので。
ここのところ、GoogleやAppleへの独禁法関連の風当たりが強く、特にAppleは「iOSアプリのApp Storeでの独占販売はやめれ」と英政府とかEUとかからつつかれています。
Appleは「そんなことをしたらユーザーを守りきれなくなる」とわざわざ16ページもあるPDFの文書を公開して主張しています。
確かにそれはあるけど、実際のところはいわゆるApple税を取れなくなることへの危機感が強いはず。EUの調査はApple税を不満に思うSpotifyやEpicからの申し立てで始まりました。
それを横目に、MicrosoftはMicrosoft Storeの刷新で開発者がアプリ内決済に独自サービスを使っていいことにしました。
Microsoftは昨年10月、アプリストアの10の原則を発表し、「開発者と人気のあるプラットフォームのオーナーが、利益のバランスをとる方法について公開討論を行うべきだ」と主張しました。Windows 11でのAndroidアプリ対応やMicrosoft Storeの刷新は、その続きだったんですね。
この連載は「Googleさん」なのに、なんだかMicrosoftの話になってしまいました。
Microsoftのサティア・ナデラCEOは、「Amazonだけじゃなく、AppleだろうがGoogleだろうが、歓迎する」と語りましたが、Googleさんはこれに応じるでしょうか。
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