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「ポケモンユナイト」でeスポーツ「MOBA」は日本に根付くか キーワードは知名度と「基本無料」(1/2 ページ)

» 2021年08月03日 14時59分 公開
[河嶌太郎ITmedia]

 7月21日、国民的ゲームとして知られる「ポケットモンスター」シリーズに新たなタイトルが登場した。中国Tencent子会社の中国Timi Studiosとポケモン社が手掛けるNintendo Switch向けゲーム「Pokemon UNITE」(ポケモンユナイト)だ。プレイヤーは自分が操作するポケモンを選び、5対5のチームに分かれて対戦。制限時間内にどれだけ多くポイントを獲得したか競う。基本無料で、9月にはiOS/Android向けにも配信予定だ。

photo ポケモンユナイト

 ゲームには、10人のプレイヤーが5対5の2チームに分かれて参加する。プレイヤーはマップ内で野生のポケモンを倒してポイントを溜め、5カ所ずつある相手のゴールに入れることで、チームの得点を稼ぐ。ゴールではプレイヤー同士の攻防が予想されるため、チームでどのように連携を取るかが勝負のカギとなる。

ポケモンユナイトのスクリーンショット

 こうしたチームバトル形式は、「MOBA」(マルチプレイヤー・オンライン・バトル・アリーナ)と呼ばれている。日本だとあまり聞きなじみのないジャンルだが、海外では「League of Legends」(LoL)や「Dota 2」(ドータ・ツー)などヒット作も多い。

 特にLoLは「世界で最もプレイヤー数の多いPCゲーム」とも呼ばれており、そのプレイヤー数は全世界で約1億人。賞金総額約7億円の大会が毎年開催されるほどの人気ぶりだ

 一方で、日本におけるこうしたゲームタイトルの知名度は低い。日本のeスポーツのプロ選手というと、やはり「ストリートファイター」シリーズなど1対1で戦う対戦型格闘ゲームの選手を思い浮かべる人が多いだろう。日本では知る人ぞ知るゲームジャンルにすぎないMOBAだが、「ポケモンユナイト」はそんな現状を打ち破る可能性がある。

1億の視聴者や43億円の賞金集めるゲームジャンル「MOBA」

 そもそもMOBAとはどんなゲームなのか。細かいルールはゲームごとに異なるが、多くは2つのチームに分かれ、性能の異なるキャラクターを各プレイヤーがそれぞれ操作する。プレイヤーはゲーム中に自分のキャラを育成し、時には相手チームを妨害しながら、決められた目標をより早く達成した方が勝利──というのが基本的な流れだ。

 具体的に世界ではどの程度人気があるのか。例えばLoLの場合、「World Championship」という世界大会が毎年10月から11月にかけて開催されている。近年は米国や韓国、中国、欧州などから20程度のチームが毎年参加している。

photo 2020年のWorld Championship

 試合のオンライン配信も行っており、2018年の大会では約9960万人の視聴者を集めた。日本のプロチームもこれに毎年出場しており、日本のプロリーグ「League of Legends Japan League」の優勝チームが参加する仕組みだ。

photo Dota 2のスクリーンショット

 賞金総額ではDota 2が頭一つ以上抜けている。Dota 2は世界大会「The International」が毎年8月に開かれており、21年8月には「The International 10」が開催予定。賞金総額は約43億円を見込んでいる。これはテニスの4大大会の一つである「全仏オープン」の賞金総額(約46億円)に近い数字で、今やeスポーツがリアルスポーツの大会にひけをとらない人気を集めていることがうかがえる。

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