とはいえ、ニッチはニッチなのだと守川氏は言う。「ニッチシリーズは、狭い範囲の人向けなのです。背広姿にはやっぱり長財布がバランスが良いんです。だから、フリーランスとか、そういう人向けですね。使う人もニッチな人で、モノ自体も隙間に入れるような構造ですから、あえて『ニッチ』と言うことにしました」
確かに、ニッチな人に向けた、ニッチな製品だと思う。しかし、そこに仕掛けられたアイデアと、それを実現する構成力と技術は多くの人に対しても刺激的だ。革製品として見ても、この3つの製品が全て、1枚の革で構成されている、その設計の見事さに感動する。また、rethinkの製品全体の特徴でもあるのだけど、守川氏は試作品を自分で徹底的に使い込んで、小さな違和感も、見つけるとそれを放置せず、必ず改善している。
例えばiPhone用のスリーブの、カメラ部分の突起によって革が引っ張られて、iPhoneの輪郭にケースがぴったり沿わなくなることを防ぐ裁断と縫製だったり、「Less Wallet」のコインケースを抑える被せの高さが、紙幣を入れたときにぴったりと紙幣を隠すようになっていたり、カードケース部分にカードを入れた状態でコインケース側から見たときに、ほんの少しカードの上端が見えるのが気になって修正したりと、本当に細かい、誰も気が付かないようなところまで手を入れている。
革のすき方、真っすぐではなく少しだけ湾曲させて切ることで、中にものを入れたときに真っすぐになるといった細部の調整、ポケットからの出し入れ時に引っ掛かるところがないか、などなど。rethink製品の比類なきたたずまいのカッコ良さは、そういう細かなバグフィックスによって作られているのだ。
そして、その手間と革の品質に対し、価格がとてもリーズナブル。今回、ベルギー産のルガートと、イタリアのプエブロレザーの2種類。色は、プエブロは4色のバリエーション、ルガートは1色のみとなっているのだが、プエブロレザーだと、「Less Wallet」が1万1000円、「Key Purse」が6930円、「Narrow Sleeve」が4950円。ルガートだと、少し価格が上がって、「Less Wallet」が1万7600円、「Key Purse」が9900円、「Narrow Sleeve」が7700円。
これ、本当に破格なのだ。革の個性としては、ややカジュアルなプエブロ、フォー万マルなルガートといった感じ。革の伸び方なども違うため、それぞれ微妙に製法も変えてあるのもすごいところ。個人的には、Less Wallet」と「Key Purse」はプエブロ、「Narrow Sleeve」がルガートという使い分けが気に入っている。
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