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「地球の道路に飽きたところよ!」と言われた気がしたので、火星を走ってきたCloseBox(3/3 ページ)

» 2022年03月08日 08時44分 公開
[松尾公也ITmedia]
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世界最高峰を目指せ

 火星にも飽きたら、また地球に戻ってきてもいい。実際には自転車で行けない場所、エベレストにも登ることができる。富士山の5合目まで登る、Mt.富士ヒルクライムには参加したことがあるが、当然ながらそのレベルではない。

 エベレストだけあって、スタート地点から富士山の頂上超えである。富士スバルラインを走る富士ヒルクライムは最大勾配でも7.8%と、Zwiftならまあよくあるくらいだが(それでも25kmある)、エベレストはそんなものではない。最初のベースキャンプに向かう道ですら、すぐそれを超えてくる。この先はいったいどうなるんだと不安になるが、今使っているローラー台は自動負荷には対応していないので、本格的な挑戦は今週手に入る予定のスマートトレーナーが来てからにしようと思っている。

photo 世界最高峰を目指す

 累積標高8848mを記録する「エベレスティング」というチャレンジがあるが、SOL Cyclingではその代替にはならない。なぜなら、スタート地点が4000mを超えているからだ。でも、3Dレンダリングされたチョモランマ周辺の美しい風景を眺めながらヒルクライムできるというのはなかなかいい気分だ。

 SOL Cyclingには「MARS」「EVEREST」ともう1つのプレイモードがある。「UNDEAD」。すなわちゾンビである。ゾンビから逃げながら、ミッションをこなすのだ。画面は暗く、爽快感はない。ゾンビ好きにはいいだろうけど……。

 SOL Cyclingがこの先どうなるかは、実は不透明だ。NFTを使ったフィットネスメタバースなるものを目指す企業によって買収され、何だか壮大な事業を始めるようなのだが、その中にスマートバイク、スマートトレーナーを使ったメタバースがあるのかどうかはまだアナウンスされていない。

 Zwiftをはじめとする、フィットネスメタバース的なものは多いが、参入障壁は高い。その理由の大きな部分は、スマートトレーナーやローラー台などとアプリやサービスを接続するための仕組みが、個別に対応しなければならないからだ。

 接続インタフェースは無線方式だけでもANT+とBluetoothがあるし、センサーもスピード、ケイデンス、パワー、ハートレートと数多い。ローラー台の方も、自動負荷に対応しているかどうか、勾配の限界値、物理的な勾配角度対応など複雑だ。さらにゲーム性を高めるためにハンドル操作に対応させる必要も出てくるだろう。

 Apple Watchをスポーツジムのトレーニング機器に簡単に接続できるGymKitのような仕組みがインドアバイクで共通化されれば、対応ゲームはもっと増えてくるのではないだろうか。

 今はこのSOL Cyclingや、自転車でのデリバリーをシミュレートする「Hustle City」、人気ゲーム「Grand Theft Auto」の自転車MODなど、魅力的なものは散発的に登場しているが、大きなムーブメントからはほど遠い。ここはバイクフィットネスサービスのPelotonを買収するといううわさもあるAppleに期待したいところだ。

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