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Teslaはこうやって買う(後編) 保険、ローン、最初の充電走るガジェット「Tesla」に乗ってます(3/3 ページ)

» 2022年03月15日 18時08分 公開
[山崎潤一郎ITmedia]
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右はウインカーレバーにあらず!

 前述のように現在の納車拠点は、東京、名古屋、大阪の3カ所に限定されています。遠方の人は大変だと思います。SNSを見ていると「これから納車です」といった文章と共に、新幹線の切符の写真を投稿している人をみかけます。ただ、それだけの労力と情熱を傾けるだけの魅力を有したクルマであるということです。

 自宅等の指定場所まで運送業者が、車両積載車で配送してくれる納車方法も選べます。ただ、こちらは、運搬費用が発生するのでTesla Japanのスタッフに相談してください。

 遠方からModel 3を受け取りに来る人は、納車時の充電状態が気になると思います。以前は、満充電とまでいかなくても、ある程度の容量が充電された状態で納車されていたようですが、台数が増えた昨今は、総じて充電容量少なめだといいます。

 筆者の場合納車時は、残量20数%、距離にして170km程度の表示でした。Tesla Japan側が納車時の充電状態までケアしてくれるのかどうかは分かりませんが、遠方の人は、スタッフに一言確認しておくといいでしょう。

photo 帰路の充電残量が心配なら、さっそくスーパーチャージャーを利用してみよう。写真は御殿場スーパーチャージャー

 納車時に十分な充電残量が期待できないようであれば、帰路につく前にTeslaの優れたユーザー体験の1つである、スーパーチャージャー(SC)での充電を初体験することをお勧めします。筆者の場合、自宅充電が可能でしたが、納車日の翌日にあえて約30分のドライブをして最寄りのSCに出向き、SC初体験を済ませました。

 プラグインするだけで認証や課金がすべて自動的に実施される、そのあまりのあっけなさに拍子抜けする一方、SCというTeslaオーナーだけに許された充電特権に感心した瞬間でした。

 ちなみに、国産車から乗り換える人は、ウインカーレバーの位置に気をつけてください。左がウインカーで、右がシフトレバーです。間違って右のレバーを時速 8km/h未満で上に持ち上げると、リバースに入りバックしてしまいます。

photo 右はシフトレバーなので、低速で上に持ち上げると操作するとリバースに入ってしまう。納車直後は特に気を付けよう

 速度が出ているときは、エラーを示すアラームが鳴るだけですが、信号待ちや駐車場の出口などの停車時や低速時にリバースに入れてアクセルを踏むと確実にバックしてしまいます。このように、ハンドル右のレバーでシフト操作を行う方式は、メルセデス・ベンツも同様です。

下取り車の取り扱いはどうすべきか

 下取り車の扱いが気になる人もいるでしょう。Tesla Japanでも下取りは実施してくれ、Model 3の支払いに充当することも可能です。スタッフに相談してください。査定は、数枚の車両の写真や車検証情報をネットでやりとりすることで行うようです。

 「ようです」としたのは、筆者の場合、Tesla Japanには下取りを依頼しなかったので実体験で語ることができません。前車の年式が古かったので、事前にスタッフから下取りは難しい旨を告げられていました。ちなみに、車種は走行距離約9万7000kmの2008年式メルセデス・ベンツC250です。

photo 600万円以上するメルセデス・ベンツも13年経過すると二束三文になる。ホイールが異様に汚いのはお許しあれ。欧州車は総じてブレーキダストが凄まじい

 とはいえ、廃車にするにもコストが発生します。そこで、ダメ元で買取業者に査定してもらったところ、かろうじて5万円の値が付きました。査定担当者曰く「ノーマルグレードなら査定ゼロですが『ダイナミック・ハンドリング・エディション』という特別仕様車なので頑張ります!」。どこまで信用していいのか分かりませんが、交渉の類いは面倒なので、それで手を打ちました。

充電待ちという制約が新しいユーザー体験を生む

 納車が完了したら直ちにCEV(クリーンエネルギー自動車)補助金の申請手続きを行ってください。筆者の場合、納車日の前日にTesla Japanから「補助金のご案内」という申請方法や必要な情報について記載したメールを受け取りました。

 メールには、2通の領収書がPDFで添付されていました。1通は頭金の分、もう1通はローン支払い分です。この領収書は、補助金の申請に必要なので、削除しないように気を付けてください。筆者の場合、令和2年度補正による環境省の補助金を申請したのですが、申請から支給まできっちり4カ月かかりました。気長に待ちましょう。

photo 補助金の振り込みを知らせる幸せの緑の封筒。申請から約4カ月で振り込まれた

 このようにして、納車から約半年を経過した我が家のModel 3ですが、車両起因によるトラブルもなく、日々順調に走っています。マイナーなトラブルといえば、乗り込んだ際に、スクリーンが固まって無反応だったことが一度、ブラックアウトして何も映らなかったことが一度ありました。いずれも、スクリーンのリスタートで簡単に問題は解決しました。

 本稿の締めくくりにModel 3に対する家族の反応を記しておきます。当初、メルセデス・ベンツから何処の馬の骨(失礼)ともわからないTeslaへの乗り換えに抵抗感を訴えていた妻ですが、今では、すっかり気に入っています。滑らかなワンペダル走行のドライブフィールやゆったりとした座り心地の助手席に満足しているようです。

 また、旅の際に充電の待ち時間に不満が出ることを予想していたのですが、実際はその逆で、待ち時間という制約がもたらす体験(食事、買い物、車内でのコンテンツ消費)を存分に楽しんでいるようです。

 最後に前編の「Teslaはこうやって買う(前編) 試乗からグレード選択、充電設備、納車前の諸手続きまで」の内容について補足があります。Model 3の価格変動について触れた部分がありましたが、説明が不足していました。件の説明では、価格変動の要因として円安についてのみ言及しましたが、実際には、バッテリー等原材料、半導体などの部材や物流コストの上昇も深く関係しているものと思われます。

 実際、Teslaは日本だけでなく、米国や中国でも段階的に値上げされており、つい先日も、日本ではModel 3が、米国、中国ではModel 3やModel Yが値上げされました。Model 3ロングレンジはとうとう、600万円を超えてしまいました。

 バッテリーの重要な原材料であるニッケルなどは、先物取引で相場が爆上げ状態です。今後も値上げされる可能性は捨てきれません。このままいくと、2021年2月の大幅値下げ前の価格655万2000円に戻ってしまう可能性も否定できません。ましてや値下げとなると、可能性は限りなく低くなります。Teslaの購入を考えているのであれば、早く行動を起こすことをお勧めします。

山崎潤一郎

音楽制作業の傍らライターとしても活動。クラシックジャンルを中心に、多数のアルバム制作に携わる。Pure Sound Dogレコード主宰。ライターとしては、講談社、KADOKAWA、ソフトバンククリエイティブなどから多数の著書を上梓している。また、鍵盤楽器アプリ「Super Manetron」「Pocket Organ C3B3」「Alina String Ensemble」などの開発者。音楽趣味はプログレ。Twitter ID: @yamasakiTesla


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