せっかくなので本格的なカメラでも撮ってみた。カメラは、ソニー「α7 III」+シグマ「60-600mm F4.5-6.3 DG OS HSM」と、ソニー「α7R III」+タムロン「35-150mm F2-2.8 Di III VXD」。前者は編集長の私物なのだが、編集部のチャット欄で600mmバズーカ写真をドヤ顔で連投していたので、記事用に写真を拝借させてもらった。
600mmの効果は抜群で、光量が稼げない月食でもクレーターのディティールをかなり細かく捉えている。開放値が暗いのでISO感度を3200に上げているが、さすが本格機材という感じだ。さらに、複数枚の連写画像を重ね合わせる(スタック)など天体向けの画像処理により解像感を引き上げてみると、かなりシャープな絵が浮かび上がる。
タムロンの方は150mmまでしかないが、開放値F2.8と光量が稼げるのでセンサーのISO感度を100に抑えて1ピクセルあたりの情報量を高めつつ、4200万画素から大きくクロップすることで何とか像を捉えることができた。
ただし、どちらも重量級レンズなのに加えモノ自体も大きく、カメラと組み合わせるとかなりかさばってしまう。一方スマホは持ち歩ける一番身近なカメラとして定着している。画質面ではまだかなわないものの、高性能なプロセッサとAI技術により、ポケットサイズの小さなカメラでも月食が撮れるようになった進化っぷりにただただ驚くばかりである。
SNS上でもスマホで皆既月食にチャレンジする人が多かったが、Twitterで少し話題になったのが「月モード」の存在だ。現在のAIを使えば、被写体を月と認識すると月の画像を生成/合成して、綺麗に撮影したように見せることもできるのでは――という話である。特に、S22 Ultraは通常時の月だとクレーター含めキレイに写せてしまう。
サムスン電子ジャパンに聞いてみたところ、そうした月の画像を生成/合成することはしておらず、あくまでもセンサーが捉えた画像をもとにAIで超解像を掛けているという。AI超解像もセンサーが直に捉えた画像とは違うのでは? という声もあるとは思うが、画像生成/合成とは異なるものだ。スペースズームは最先端の「コンピュテーショナルフォトグラフィー」の威力を思い知る一例となった。
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