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2023年、経理のトレンドは? 「今や郵送やFAXは迷惑行為でしかない」(1/2 ページ)

» 2023年01月26日 15時49分 公開
[斎藤健二ITmedia]

 コロナ禍や数々の法改正を経て、バックオフィスにデジタル化の流れが押し寄せている。2023年の経理領域のトレンドは何か。1月25日にfreeeが開催した「バックオフィスの日 2023」(東京国際フォーラム)にて、税理士法人Wewillの代表社員である杉浦直樹氏が、2023年の注目点を語った。

税理士法人Wewillの代表社員である杉浦直樹氏

キーワードは「インボイス」「電子帳簿保存法」「Peppol」

 2023年は経理領域において重要な法改正が相次ぐ年だ。10月にはインボイス制度が始まり、同時期にデジタルインボイス規格である「Peppol(JP PINT)」が動き出す。そしてその2カ月後の2024年からは電子帳簿保存法(電帳法)がスタートする。

 インボイス制度の経理実務上のポイントは何か。まずこれまでの請求書が「適格請求書(インボイス)」に変わる。そして、送付の際には「登録番号」「適用税率」「消費税額」の3要素を追加で入れなくてはならない。取り扱うデータ量が増えるわけだ。

 そしてこれまで不要だった3万円未満の取引についても、インボイスの保存が必用になる。また、免税事業者が送ってくる「区分記載請求書」は取り扱いが異なるため、どちらに当たるかを確認しなくてはならない。

 「経理現場にとっての本質は、データ入力量が増え、確認の手間も増えることだ。データハンドリングしないと業務量が格段に増える」と杉浦氏は話す。

インボイス制度の経理現場にとっての本質

 そのために必要なのは、紙からの移行だ。「紙をスキャンして専用システムに入れていく、電帳法でいうスキャナ保存(4条保存)を行うと、インボイスの処理は非常に手間がかかる。基本は電子データをそのまま使い、仕方がないものだけスキャナ保存するというのが正しい」(杉浦氏)

 インボイス制度のスタートを見据え、電子データが活用できるように法整備する。電帳法はそんなインボイス制度の前哨戦だったと、杉浦氏は言う。

 紙から電子へ、そしてその先に来るのがデジタル化だ。インボイス制度と歩みを併せて動き出すデジタルインボイス規格であるPeppolが、それに当たる。Peppolとは「請求書フォーマットを統一し、いわば電子メールのように、請求書をデジタルのまま送付できるようにするもの」(杉浦氏)だ。

 インボイス制度を中心に、電子化を進めやすくする電帳法、そしてデジタル化のためのPeppolがある。これらは個別の制度変更ではなく、業務システムの変化の中で、すべてつながっているというのが杉浦氏の見立てだ。

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