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バード電子のパームレストだけが、なぜ魅力的なのか分かりにくいけれど面白いモノたち(4/4 ページ)

» 2023年04月17日 21時38分 公開
[納富廉邦ITmedia]
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 さらに、ブロガーでライターのいしたにまさき氏から、パームレストの中央部が空いて、そこにスマホなどを差しこめるようにしたものを作ってほしいという依頼があったという。

プライウッドをくりぬく技術で作られたバード電子の「ギタースピーカー EZ100」のiPhoneを差しこむ部分。プライウッドの小口の層がデザインに生かされている

 「ちょうど、中をくりぬいたタイプを考えていたので、それをお話したら、いしたにさんが、応援してくれることになって出来たのが『HHKB用タイピングベッド(ふせんポケット付)』です。これの元になったのは、iPhoneをギターのように使えるスピーカーとして製作した『EZ100』です。この時に、プライウッドをくりぬくのを散々やっていたので、技術はあるよ、ということで」と斉藤氏。

 パームレストの中央部に、付せんが入れられるポケットが付いた「HHKB用タイピングベッド(ふせんポケット付)」の最大の発明は、この中央部は作業時に手が触れないスペースだったことの発見だろう。筆者のような、やや特殊なキーボードの打ち方をする場合はともかく、きちんとホームポジションに手を置いてタイピングする場合、ここはデッドスペースになる。だから、ふせんポケットがあっても作業に影響しないのだ。

 メモ好きの斉藤氏が「使い始めたら、ずっとこれになってしまった」というほどの出来。付せんを捲りやすいように空けられた半円が可愛い。デザイン的にも、輸入文具好きの斉藤氏らしい、アメリカのデスクトップツール的な趣もある。名前の「タイピングベッド」も、パームレストでは一般的過ぎて、やはり簡単にパクられそうだという判断で、登録商標が取れる名前にしたのだそうだ。

筆者は、「HHKB用タイピングベッド(ふせんポケット付)」のアイデアに先行して作られていた、「セパレート型ウッドパームレスト」(2個セット5280円)をトラックボール用のパームレストとして愛用している。この製品は、メイプルとウォールナットから選べる
「HHKB用タイピングベッド(ふせんポケット付)」のふせんポケット部分。この半円状にくりぬかれた部分が、使用上もデザイン上もポイントになっている。筆者は、このように、このポケット部分にはHHKB用の単三形乾電池のストックを入れたりしている

 「プレミアム・ライン的な感じで、無垢材のものも続けようと考えています。大量発注が来ても対応できないので、出来た分だけ売るという感じになります。無垢材は固いですし、ローズウッドの貼り合わせみたいなものだと、そもそもくりぬけないので、こっちのシリーズは。シンプルな板状の、従来通りの製品になります。あと、久しぶりにアクリル製も作ります。金属だと冷たいので、パームレストの素材としては向かないと思いましたが、アクリルならいいだろうと。前に作ったもの、今見てもカッコいいんですよ」と斉藤氏は、アクリルのパームレストを見せてくれた。これが、透明度の高い、良いアクリルを見事に加工したものだ。

バード電子がかつて作っていたアクリル製のパームレスト。次回生産分は入荷時期未定

 「ただ、これ作ってくれる人が職人肌で、物凄く丁寧に仕事するので、いつ出来上がってくるか全く分かりません。これも、気長に待って、出来たら売るということになります」と斉藤氏。

 筆者が愛用しているローズウッドのタイプは、何というか、本当に持ってて良かったと感じる製品で、機能以前に、これは机の上のキーボードの手前に置かれている姿がカッコいいのだ。もちろん、筆者がギター好きだということもあるけれど、メープルの上に貼られたローズウッドの層の部分が、エレキギターのネックを思わせて愛おしい。

 この感覚はプライウッドでは味わえないものだけれど、一方で、プライウッドだからできる追加機能も捨て難い。さらに、アクリルの、それこそ下にメモや写真などを挟んで使える面白さと、高い透明度の美しさも魅力的で、そういうことを考えて使えるPC周辺機器というのがあるのは、中々に幸せだと思う。このあたりが、他メーカーのパームレストとバード電子の製品の大きな違いなのだろう。

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