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日本生まれのプロ向け映像編集ソフト「EDIUS」 新バージョンで強化した“小規模ワークフロー”とは小寺信良の「プロフェッショナル×DX」(3/3 ページ)

» 2024年02月03日 10時00分 公開
[小寺信良ITmedia]
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企業の「動画やらねば」ニーズにも対応

 一方でEDIUSユーザーも次第に層が広がり、現在はビジネスユーザーにも多く受け入れられている。マーケティングや広報などで動画を扱わなければならなくなった人達だ。ビジネスユーザーは動画フォーマットやコーデックなどに詳しいわけではないので、それに対応した機能強化が行なわれた。

 多くの編集ツールでは、プロジェクトやタイムラインの設定と素材の素性が違っていると警告を出す仕組みがある。一方EDIUS 11では、まずMync 11で素材の動画情報、例えばフレームレート、解像度といった情報を読み取ってプロジェクトを作り、EDIUS側へ渡すことで、プロジェクト設定と素材の素性を合わせる事ができる。

 また各種SNSに対応できるよう、著名SNS用の出力をプリセットした。筆者も経験があるが、各SNSの対応解像度やアスペクト比、ビットレート、コーデックなどを調べるのはなかなか大変だ。せっかく公式資料に行き当たっても情報が古く、すでに現場の方では違う設定でも受け入れるようになっていたりといったことはよくある。これがあらかじめプリセットになっているのは便利だ。

 さらにEDIUSでは、APIの公開も積極的に行なっている。昨今の編集ツールはAIへの対応や統合が行なわれているが、EDIUSはその点では遅れをとっている。この遅れを、外部の開発者の力を借りて埋めようとしている。例えばギャップの自動検出や顔認識、映像品質チェックといったツールが拡張できるわけだ。Chorus Hubによってシステムが統合されているので、より高度な拡張も可能になるはずだ。

 元々EDIUSは、旧カノープスのDVキャプチャ製品に付属していた編集ツールの開発者らが手がけており、コンシューマから業務ユーザーへの導線も強い。GlassValleyのそもそもの顧客である放送系のユーザーも含め、今後はAPIによるオープン化と、新規ビジネスユーザーの獲得がポイントになるだろう。

 ただAPIによる拡張はどうしても本体側のアップデート情報には含まれないので、コミュニティの中で情報共有していくしかない。日本にはユーザーグループは多いが、開発が進むのはもっぱら海外という事情もある。開発元のGlassValley Japanが情報収集から広報、導入レクチャーまで頑張っていくしかないだろう。

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