向かい合って、操作ダイヤルを回しながら、自分の正解を見つけていく。そこで何かを発見するという楽しみ方があってもいいんじゃないか、と高井さんは言う。そう聞くとフィルムエフェクト、レンズエフェクト、その掛かり具合が全て、別々のダイヤル操作になっているインタフェースにも納得がいく。「あのクリック感とかも、相当悩んだんです」と言うのは、今回の製品の商品企画を担当したコンシューマーイメージンググループの三浦耕太郎さんだ。
「構えた時、右にあるダイヤルがフィルムエフェクト、左にあるダイヤルがレンズエフェクト、掛かり具合がレンズの周囲のダイヤルという位置に関しては、構えた時に手と指が心地よく納まるポジションを意識しています。写真の印象を決定付けるフィルムとレンズは、左右に置きたいというのはあって、持った時に使いやすい位置から手をあまり動かさずに操作できるようにということを考えました。構図を動かしながらでも操作できるとか、そういう部分を配慮してデザインしています。ダイヤルにしたのは、やっぱり『操作している』感を出したかったからです。だから、操作時の『カリカリ感』にはこだわっています。一度作っては溝の幅を変えたりとかして、どういうのが気持ちいい感覚で操作してもらえるのかとか、何度か試作しながら、作っては確認して作っては確認しての繰り返しでした」(三浦さん)
このカメラの楽しさは、様々なエフェクトが使えるということ以上に、その操作感の楽しさが、写る写真と連動しているということにある。ダイヤルを回すと、モニター画面内のインジケーターが動いたり、効果が変化するのだが、その変化が、クリック感と見事に連動しているのだ。
だから、内部的には完全なデジカメなのだけど、すごくアナログ感があるし、マニュアルで操作しているという実感がある。それが撮影の楽しさに直結するのは言うまでもないだろう。
製品開発を担当した富士フイルム・イメージソリューション開発センター技術マネージャーの福田信也さんは「全てが設計されてこうなって決まるわけじゃなくて、感覚を作っていくような作業。いいものをと言っても、人によって感じ方は違っているから答えがない」と話す。「メーカーとして、こうあるべきだ、というのを作って、実現するしかないので、商品企画のメンバーはもちろん、会社のメンバーも、他のメンバーも、デザインのチームの人も、いろいろアイデアを出しながら進めていったという感じです。あと、お客さんがどう感じるかを議論しながら決定していきました」。
インタフェースといえば、シャッターがボタンではなく、押し下げるタイプのレバーになっている。これも、実際に持った時の操作のしやすさや、力の入れやすさから導き出したものだという。
縦構図で撮る時は、右手を上にして、人さし指をシャッターレバーに掛け、左手で下を支えるというポジションを想定している。「instax mini Evo」の次の製品とはいえ、フィルムのサイズが全く違うので、デザインも大幅に変更する必要があった。そうなると、インタフェースも変わってくる。
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