「『mini Evo』はグローバルに大ヒットして、台数がすごく出ています。それで、今度は、WIDEのEvoも出してほしいという要望がかなり来ました。今回、WIDEのEvoを出すに当たって、ユーザーはminiのデザインを単に大きくしたものが来るんだろうと予想していたと思うんです。それをいい意味で裏切りつつ、Evoらしさは維持したデザインにしようというのが、今回の狙いでした。だから、一個一個のパーツをデザインするというより、全体的なトーンの中でシャッターの形やダイヤルの位置が決まっていくという作り方をしています」と高井さん。
個人的には、35mmフィルムが登場する前の、コンパクトな中判カメラと、昭和の子供向け雑誌の付録についていたような日光写真用カメラの間を取ったような、クラシカルでありモダンでもある、このデザインが、とても「今」っぽいと感じている。その意味で、「写真を撮ることが好き」というユーザーにハマるデザインなのではないだろうか。
本体メモリで撮ると、解像度は2560×1920ピクセルだが、SDメモリカードを使い、広角スイッチをオンにすると、4608×3456ピクセルで撮影可能。写真は、最高解像度で撮ったもの。フィルムエフェクトはライトグリーン、レンズエフェクトはビネット、露出補正は-1.5、フィルムスタイルはコンタクトシートで撮影もともと、チェキは言われているほど低画質ではないのだが、今回の製品では、それ以上に、随分画質が上がったように見える。もちろん、撮影画素数も最大4608×3456ピクセルと、mini Evoの2560×1920ピクセルからかなり向上しているだけではない。
「今回は、最上位機種という位置付けで企画されていますので、やっぱり画質性能のこだわりは大きくて、レンズの性能もかなり上げています。ワイドフォーマットは、ミニに比べて、レンズの影響が画質に大きく出ます。それだけではなくて、CMOSセンサーも、これまで5分の1型の5メガというレベルのセンサーを使っていたのですが、今回の3分の1型の16メガまでセンサーの高性能化して、よりこだわった撮影を実現できるようにしています。レンズとセンサーを合わせてシステム全体として高性能化し、高画質感を目指しています」と福田さん。
これも撮影してプリントしてみれば分かるのだが、輪郭がとてもシャープに出力される。デジタルデータを光学データに変換して、フィルム面に感光させるためのヘッド自体は、フィルムサイズの分大きくなってはいるものの、そこに変更は加えていないということなので、撮影時の画質の向上が、今回の出力品質の高さに繋がっているのだろう。それでいて、チェキらしさというか、フィルムカメラともデジカメとも違う質感は残されているあたりに、富士フイルムのinstaxフィルムへのプライドを感じる。
レンズは、35mmフィルム換算で16mmの広角レンズが搭載されている。レバーの切り替えで撮影画角を狭くすると、mini Evoと同じ、28mm相当になる(レンズ自体の焦点距離が変わるわけではないので、解像度は下がる)ので、今回、よりワイド画面を強調する画角での撮影が可能になったというわけだ。元々、チェキは28mm相当と、一般的なコンパクトカメラに比べると広角寄りのレンズが搭載されている。
上(08a)が、レンズ本来の画角である広角モードオン(16mm相当)での撮影。下(08b)が、同じ場所から、広角モード・オフ(28mm相当)で撮ったもの。どちらもフレームを「湿板印刷」にしているので、ちょっと古い写真のムードになっている。広角モードでの周辺歪みが、それほど大きくないことに驚いた(これまでのinstaxシリーズは、基本的に28mm相当の画角のレンズを搭載)「チェキは従来アナログカメラのみでしたから、パララックスがあって、近距離の撮影ではファインダーで見た画角と実際に撮れる画角がズレてしまっていたんです。それで、撮ったと思ったら頭が切れていたみたいな失敗を減らすために、普通のカメラより広角寄りにしていました。最近のアナログカメラにはパララックス補正機能を入れたので、その問題はないのですが、基本はその画角がベースになっていますね」と高井さん。
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