米Teslaが米国において、世界初の自律走行による納車を開始しました。百聞は一見にしかず。以下の米Teslaの公式動画をご覧頂くとその様子がわかります。テキサスのギガファクトリーを無人で出発したModel Yが、工場の出口、駐車場、高速道路、そして市街地を30分ほど走行し新しいオーナーの自宅に到着するまでの一部始終をタイムラプス動画で見ることができます。
テキサス州オースチンでは、米TeslaのFull Self-Driving (Unsupervised、監視なし)を活用した自動運転タクシーであるロボタクシーの実証実験も始まっています。自律走行納車やロボタクシーに対するネットの論評を見ていると賛否が渦巻いているのが見て取れます。
とりあえず、法制度の部分は脇に置いておいて、仮に日本で自律走行納車が始まったとしましょう。どれだけのユーザーがこの納車スタイルを利用するでしょうか。そもそも、貿易条件におけるFOB(Free On Board)のように責任の分割ポイントはどこに設定されているのでしょうか。
過去にディーラーの営業担当者による自宅納車や定期点検の引取・返却を利用したことがありますが、当時は責任の分割ポイントなど深く考えず、担当者との信頼関係の範疇でお願いしていた記憶があります。しかし、自律走行納車ともなると、そのあたりの取り決めは明文化しておく必要がありそうです。
日本人は新車に対し、非常に厳しい目を向けます。自宅に到着したクルマにキズがついていたら当然ながら受け取りたくはありません。キズとは言わないまでも、走行中に虫の死骸が前面部に張り付いていたり、悪天候で泥だらけになったりしたら気分のよいものではありません。
先日、新しいTeslaオーナーの納車に立ち会い、クルマの基本的な操作などを説明するボランティア活動に参加してきました。新オーナーの多くは、YouTubeなどで事前に勉強している人がほとんどで、スムースな納車が進んだのですが、中にはボディー塗装やタイヤ・ホイールなどを非常に細かくチェックする新オーナーもいました。高価なクルマを購入するわけですから、至極当たり前な行為です。
そのような厳しい目を持ったユーザーの多い日本において、米国の自律走行納車の動画を見ながら、日本ではどれだけの人がこの新しい納車スタイルを選択するのだろうかと思ったわけです。
著者プロフィール
音楽制作業の傍らライターとしても活動。クラシックジャンルを中心に、多数のアルバム制作に携わる。Pure Sound Dogレコード主宰。ライターとしては、講談社、KADOKAWA、ソフトバンククリエイティブなどから多数の著書を上梓している。また、鍵盤楽器アプリ「Super Manetron」「Pocket Organ C3B3」「Alina String Ensemble」などの開発者。音楽趣味はプログレ。Twitter ID: @yamasakiTesla
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