先週のアクセストップは、「業者に物理破壊を依頼したはずのPCが、なぜかネット接続されたことが分かり、適切に処分されていないことが判明した」というホラーのような話だった。業務上の機密が含まれたPCの処分は難題だが、まさか破壊依頼したPCがゾンビのように生き返るとは……。
ところで最近、電車の吊り広告などで「AIを使った副業」をすすめる本をよく見るようになった。ChatGPTなどを使い、自宅で副業すれば誰でも稼げる! という指南書だ。
こうした本は「大金持ちになれる」とは言わないが、「月10万円稼ぐ」「2カ月で月30万円」など、「これぐらいあるとすごく助かるなあ」と思わせる絶妙なラインを攻めてくる。
日々AIを使って仕事をしている身からすると、「AIで副業」は甘くない。筆者もライター業に生成AIをフル活用しているが、月10万円分の収入上乗せには程遠い。考える作業を一部AIに任せることで仕事の効率が上がったり、疲労感が軽減したりといった効果は感じているものの、何種類も使っているAIの月額料金が重く、相殺してプラスになるかならないか、というぐらいだ。
画像・動画生成AIも同様のようだ。ランサーズなどで公募されている、素人OKの仕事は報酬が極端に低い。一方で、画像・動画生成AIは従量課金制のものが多く、イメージ通りのアウトプットを得るためには何度も生成を試したり、手作業で修正したりする必要がある。コストも時間もかかるため、安定した収益を得るのは難しそうだ。
むしろ、前出のような本や、noteで「プロンプトのコツ」のようなコンテンツを数千円で売っている人の方が、地道にAIを使って仕事をしている人より稼いでいるだろう。19世紀のゴールドラッシュでも、金を掘る人より、金を掘るためのスコップや作業着のジーンズを売った人が着実に富を築いたとされる。AIビジネスでも、同じことが繰り返されているのかもしれない。
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