ITmedia NEWS > 製品動向 >

テスラの待機電力、「10日間放置」でバッテリーはどれだけ減ったか 緊急入院してしまった筆者の場合走るガジェットTeslaに乗ってます(2/2 ページ)

» 2026年03月01日 15時30分 公開
[山崎潤一郎ITmedia]
前のページへ 1|2       

 ただ、最も電力を消費する要因として、アイドル時のバッテリーの「プレコンディショニング(プレコン)」を忘れてはなりません。プレコンというのは、出発前や充電時において、バッテリーの能力を最適化するために自動で加温や冷却などを行う機能で、Teslaの場合、システム側の判断で自動で起動します。

 ログを確認すると、アイドル状態になるたびにプレコンが機能していることが見て取れます。摂氏10度にも満たない冬の地下駐車場に放置しているわけですから、バッテリーは冷え冷えです。アプリからのアクセスがあるたびに、加温するためにプレコンが起動しています。

 その一方で、夏の暑い盛りには、バッテリーを冷やすためのプレコンが行われている場合もあります。電気代がもったいない気もしますが、このような、きめ細やかないバッテリーマネジメントが自動で行われることこそが、Tesla自慢のバッテリー寿命の長さに寄与しているものと思われます。

 終始スリープ状態であれば、電力消費は最小限となります。CTスキャンやMRIの検査等が立て込んで(入院患者にも忙しい日はある)、アプリからのアクセスを実施せず、なおかつ、後述する「セントリーモード」を一度もオンにしなかった日には、24時間スリープ状態のままで、電力消費が0.19kWhと極小だった日もあります。

 早い話が、用もないのにアプリから車両にアクセスするとその分、電力を無駄に消費するよ、というわけです。

ベッドの上から遠隔でダッシュカムビューア(後述)で撮影された画像を確認する。工事関係者と思われる人がボネットの真ん前に立って興味深そうに見ていた

 今回、駐車場への来院者の出入りがある朝から夕刻に、手動でセントリー(監視)モードをオン/オフを切り替えました。セントリーモードというのは、駐車中、車両の周囲で何らかのイベントが発生した場合、それを感知して、前後左右のカメラ(ダッシュカム)で録画が開始される機能です。例えば、隣の駐車スペースに他車が停まったり、車両周辺に近づく人がいれば、映像でしっかり記録されます。

 それと同時に、セントリーモードをオンにしておくと、車両がアイドル状態になるので、前述のように消費電力が増加します。

 さらに、スマホのTeslaアプリには、「ダッシュカムビューア」という機能があり、セントリーモードにより記録されたイベントを遠隔で確認することができます。病床から、ドアパンされてないかとアプリで確認したこともアイドルによる消費電力が多くなった原因かと思われます。

アプリから車両の前後左右の様子を録画映像で確認可能。イベン*ト発生時前後30秒の動画を「写真」アプリに保存可能。ドアパンの証拠映像になる

 ちなみに、ダッシュカムの映像をリアルタイムで見ることはできません。あくまでも録画済みの映像を確認するための機能です。

 もう一点、バッテリーを消費する要因があります。「TeslaFi」というサードパーティー製ログサービスを利用しています。このサービスを利用していると、Teslaの公式APIが一定間隔で車両を「叩く」ことになり、やはり停車中にバッテリーを消費する原因にもなります。

10日間の放置で走行距離100km分の電力が消失

 まず、心配したのは、入院が長引いてバッテリーが空になってしまわないかということでした。ただ、「1週間程度で退院できるかな」という担当医のコメントもあり、さすがに、76%も残っていれば、1週間程度は問題ないと判断しました。

 結果的に、入院期間は10日間となり、バッテリーは76%から、退院時57%まで減っていました。ざっくり13kWh余りです。13kWhの電力があれば、高速道路で省エネ運転を実施すれば、天候など条件が良ければおおむね90〜100kmは走行できます。

 ちなみに、60リットルの燃料タンクを搭載した、筆者の前車(2.5L、V6ガソリンエンジン)に換算すると11リットル余のガソリンが蒸発してしまった計算です。こうやって内燃機関のエネルギー量に換算すると、放置時の消費電力のエグさが際立ちます。

 今回、筆者の場合、緊急入院という特異な事情で車両を一定期間放置しなければならくなったわけですが、例えば、集合住宅住まいで基礎充電ができないユーザーが、旅行などで駐車場に車両を放置しなければならない状況になる場合もあるかと思います。あるいは、海外旅行で空港のパーキングに駐めておく場合もあるでしょう。本稿の情報がそのようなユーザーの一助となれば幸いです。

著者プロフィール

山崎潤一郎

音楽制作業の傍らライターとしても活動。クラシックジャンルを中心に、多数のアルバム制作に携わる。Pure Sound Dogレコード主宰。ライターとしては、講談社、KADOKAWA、ソフトバンククリエイティブなどから多数の著書を上梓している。また、鍵盤楽器アプリ「Super Manetron」「Pocket Organ C3B3」「Alina String Ensemble」などの開発者。音楽趣味はプログレ。Twitter ID: @yamasakiTesla


前のページへ 1|2       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アイティメディアからのお知らせ

あなたにおすすめの記事PR