暗い場所では手ブレに悩まされることの多いDZ-338だが、太陽の光がまんべんなく降り注ぐ晴天下になると、やっとその実力を発揮する。
オート(ISO 40、F3.5、1/166秒)
パンフォーカスを採用し、通常撮影モードでは1.3メートルから無限大まで画面全域でピントが合うようになっているはずだが、よく見るとレンズ周辺部でピントが甘くなっており、光量低下もみられる。マクロモードへの切り替えは本体左側のスイッチで手動で行うのだが、最短でも60センチまでしか近寄れないないため、花などの撮影には向かない。
まだカメラが高級品で、一般家庭に1台あるかないかといった時代、カメラは「ハレの日」に使われる道具だった。“ハレ”は日本古来からいわれている「ハレ(非日常)とケ(日常)」のハレで、結婚式/お祭り/旅行/出産など“非日常の出来事”をさす。
低価格化が進み、オート性能の向上で誰でも簡単に撮影できるようになった最近のカメラは、“日常的”に気軽に使われるようになった。つまり「“ケ”の道具」になったわけだ。今回のDZ-338は、3Mピクセル機ながらイチヨンパという普及価格に設定し、デジカメ初心者が多いと思われるジャスコなどで販売される。「大根と一緒にデジカメも」という気軽さで、(変な表現だが)「デジカメの“ケ”化」をさらに推し進めるはずだった。
だが今回レビューした限りでは、ISO40という低感度設定と、スローシャッター(長時間露光)でノイズの出やすいCMOSセンサーのせいで、曇天/降雨時や室内など暗い場所では手ブレが発生したりノイジーな画像になってしまった。どんな撮影シーンでもこなし、日常的に使えるデジカメには残念ながら仕上がっていない。
タイトルの「“ハレの日”デジカメ」のハレは、晴天時(“晴れ”)でないといい写真が撮りづらいという皮肉を込めてつけた。キレイな画像をずっと残しておきたい結婚式や旅行など、本当のハレの日でも安心して使える高画質な“ケ”のデジカメの登場を期待したい。
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