ベンチマークの結果は、以前取り上げたASUSTeKのR9600XT/TVD/N/128Mのときとほぼ同じ傾向となっている。残念ながらほとんどのテストでGeForce FX 5700 Ultraを搭載したFX5700 Ultra TD128が上回る結果となってしまった。
さらに気になるのが、同じGPUを搭載しているR9600XTと比較してもRX9600 XTのベンチマーク結果が下回っていること。とくにR9600XTで優勢だったDirect X 9.0系のベンチマーク「AquaMark03」の値が、RX9600XTでは、FX5700 Ultra TD128を下回る結果になっている。
念のためPowerStripでコアクロックとメモリクロックを調べてみると、デフォルトの状態でコアクロックは定格の500MHzを示していたが、メモリクロックは定格の300MHz(DDRデータ転送レートで600MHz相当)を大きく下回る250MHz(DDRデータ転送レートで500MHz相当)の値を示していた。
実際に評価した製品のビデオメモリを確認すると搭載しているのはSAMSUNGの「K4D551638D-TC40」。SAMSUNGのデータシートによると、このDRAMの最大クロックは250MHzとなっている。
この遅いメモリクロックが、RX9600 XTのベンチマーク結果が意外と低い値にとどまっている原因であることは想像に難くない。それでは、なぜ定格よりも遅いメモリクロックとなっているのだろうか。
ほかのビデオベンダーでも、RADEON 9600 XTを搭載したビデオカードで、ビデオメモリ容量128Mバイトの製品に搭載したものより遅いDRAMを256Mバイトの製品に搭載しているケースはある。ただし、その場合でも128Mバイトで350MHzまで出せるメモリを実装していたのを、256Mバイトで300MHzのメモリに替えているだけ。少なくとも定格のメモリクロックは出せるようになっている。
このあたりの事情をクリエイティブメディアに確認したところ、現在出荷されている製品でも、このクロックで動作させていることを認めている。ただし、その理由については「現在確認中」
店頭価格は現在2万2000円前後となっていて、ほかのベンダーのRADEON 9600 XT搭載の256Mバイト製品が2万5000円を切っていない(ただし、バルクでは一部2万2000円台の製品もあり)ことを考えると、RX9600 XTはそれなりに安い価格設定になっている。ユーザーごとに、やや低めのパフォーマンスとこの価格のバランスをどのように考えるかで、RX9600 XTの評価は分かれるようになるだろう。
「パフォーマンスや価格などのバランスを検討した結果、(メモリクロックが250MHzでも)多くのユーザーから総合的に十分満足していただける製品になると判断し、今回の仕様とさせていただきました」(クリエイティブメディア広報)
定格動作のREDEON 9600XT搭載ビデオカードと比較した場合、ベンチマークの値は3DMark03で10%、AquaMark03では3%弱の相違になっている。そして、リテールパッケージの価格で比較してみると、ほかのベンダーの256Mバイト搭載製品が2万6000円前後、RX9600 XTは2万2000円前後。
コストパフォーマンスを重視するユーザーが選択するミドルレンジのビデオカードとして、AquaMark03のパフォーマンスを3%向上させるために4000〜5000円高い価格を受け入れるか否か。そう考えると、クリエイティブメディアの判断は実に現実的と思えるのだがいかがだろうか
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