手のひらに12.3メガ――縦型コンパクト「FinePix F610」(2/3 ページ)

» 2004年01月27日 23時59分 公開
[西坂真人,ITmedia]

 単純に画素を増やしても、搭載するレンズの解像力が高くないと拡大してもぼやけた画像がただ大きくなるだけだ。F610に搭載されたレンズは、放送カメラ用レンズとしても採用実績が多いフジノンレンズに、電子ビームを使ってレンズに多層コーティングを施した「スーパーEBC(Electron Beam Coating)フジノンレンズ」。“シャープでキレのよい豊かな描写力”という定評どおりの結果を見せてくれた。

mn_fine6.jpg 「スーパーEBC(Electron Beam Coating)フジノンレンズ」を搭載

 レンズの開放絞り値はF2.8〜F4.9と比較的明るいタイプを採用。絞り設定は広角側でF2.8〜F8まで10段階に切り替え可能など、より多彩な絵作りをサポートする。 ズーム性能は35ミリ判換算で35〜105ミリ相当の光学3倍ズームを搭載。ハニカムズームと併用して、最大7.5倍(1280×960ピクセル時)の高画質なデジタルズームが行える。

mn_fine7.jpg 最広角側(35ミリ相当)で撮影。オート(1/550秒、F5.6、ISO125)。元画像はこちらをクリック

初心者にもプロにも便利な「広めに撮ってトリミング」

 もっとも、光学3倍&デジタルズームを駆使して狭い画角で撮るよりも、広角側でやや広めに撮影して後でトリミングするといった使い方がF610には向いている。200万〜300万画素クラスのデジカメでは切り出しも最小限にとどめたいところだが、12.3メガピクセルという“解像度の余裕”があれば、少々ラフに切り出しても画質劣化はさほど気にならない。なにしろ画面サイズが1/4になっても、2024×1520ピクセルとまだ300万画素クラスの解像度があるのだ。

 例えば、どこから現れるか分からない動きの速い被写体の決定的瞬間を撮影したいという時に、ベストな画角で瞬時にフレームに収めるということはプロでもなかなか難しい。だが、筆者の日常のニュース取材では、このようなケースはよくある。取材の場合は、とにかく写って(フレーム内に収まって)いなければ話にならないので、失敗のないように少し引き気味(広角側)で撮影する。

mn_fine8.jpg オート(1/500秒、F5.6、ISO 125)。クリックすると切り出した画像(等倍率2024×1520ピクセル)

 そうすると上の写真のように、右に寄ってはいるが被写体はなんとかフレーム内に収まってくれる。この時に“解像度の余裕”があれば、ちょどよい大きさに切り出して使うことができるというわけだ。上の写真は、F610の“売り”の1つでもある「最高画質での高速連写」を使って撮影した1コマで、下の写真が連写したものを1/4サイズで切り出して4分割にまとめた画像だ。

mn_fine9.jpg 元画像はこちらをクリック

 連写は、どのピクセルサイズでも約3コマ/秒で連続5コマまでの高速連写が行えるほか、シャッター押下中は連写(約0.3秒間隔で最大25コマ)し続けて指を上げた直前の5コマを記録する「サイクル連写」も装備している。このように「広めに撮って、後で好きなサイズに切り出せる」というメリットは、フレーミングに慣れていない初心者にとってもありがたいもの。“コンパクト機に1230万画素”という組み合わせも、このような使い方なら決してオーバースペックではないわけだ。

やはり縦型は“使いづらい”?

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