展覧会ナビゲーションツールとしてのiPod〜六本木クロッシング(2/2 ページ)

» 2004年02月20日 18時52分 公開
[こばやしゆたか,ITmedia]
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 iPodのなかで音声データは次のように入っている(「エキソニモ」などはアーティスト名、その前の番号は展示番号)。

 アーティストの数だけのプレイリストがあって、それぞれの中に、そのアーティストの音声データが1つずつ入っているという形だ。

再生中はこんな感じ。データ上は、作品名は「アルバム名」として登録されている

 最初に、エキソニモさんのガイドを聞こうと思ったら、トップメニューからプレイリストを選んで、その中から「01エキソニモ」を選んで、さらに「エキソニモ」を選ぶという手続きが必要になる。

 次にタナカカツキさんを聞こうと思ったら、一度プレイリストまで2階層戻って、また「02タナカカツキ」を選んで「タナカカツキ」という2階層進んでって作業がいる(*2)。

 作品を見ながらこんなことをするのは、とても煩わしいです(*3)。

 時間に追われてたせいもあるけど、作品を見ているのかiPodを操作しているのかわからなくなる。後半になってくると、音声ガイドのないアーティストの作品だと返ってホッとしたりするように感じたりした。

 一つのプレイリストに、全ファイルを放り込んでしまえば、「1曲送り」「1曲戻し」ボタンでナビゲートできるのにと思って聞いたんだけど、それだと、一つのトークの再生が終わったら、すぐに次のトークが始まってしまう。それは困るという話だった。なるほど(*4)。

 また、赤外線を使ったような、従来型のナビゲーションツールにしなかったわけも聞いたんだけど、あれは、その場所に行くと(聞きたくなくても)勝手に音声が流れてしまうってことがある。それがイヤだったということなんだそうだ。

 また、iPodを前提にしておくと、それに入れるデータを作るのが簡単だし、メンテナンスも楽だってこともある。まだガイドのないアーティストのデータを追加するのも簡単だ(生意気のデータもぜひ!)。

 それから、iPodは、付属の純正ケースに入れて貸してくれた。でもこのケースは付けたまま本体の操作ができないのだ。あれは音楽をずーっと流しっぱなしで聴くときに使うもので、今回のように頻繁な操作が必要なときに使うものじゃない。サードパーティのケースがあるのにって言ったら、予算の問題だったんだそうだ。それは仕方ないですね。

 展覧会のナビゲーションツールとしてのiPodってのは、いいアイデアだと思う。でも、今のままでは、まだまだ使いにくい。今回はその意味で「実験」なんだろう。これがうまくいって、iPodの展示会用ファームウェアなんてのができるようになったら、面白いんだけど(*5)。


*2 iPodをよく知らない人、すみません。ここでは、行ったり来たりが煩わしかったということがわかってもらえればいいです。
*3 やはり取材に来ていた荻窪圭氏は、わたしが煩わしいと思ったことを「それが楽しいんじゃん」って言い切ってたから、人それぞれではある。
*4 聞かれたときにとっさに思いつかなかったのだけど、「1曲リピート」に設定しておくという手はあった。「1曲送り」「1曲戻し」が使えないのは一緒だけど、階層を戻るのは1つでいい。ついでにいうと、iPodでは「1曲リピート」のときも「1曲送り」は次に再生すべき曲、つまり同じ曲を再生になってしまう。それはそれで整合性は取れているけどあんまり機能に意味がない。ここはリストの次の曲を再生ってした方がいいんではないだろうか。
*5 仕様書を読んだだけで実験していないので、注に追い出すけど、iPodにはテキストデータを表示する「ノートリーダー」という機能がある。そして、そのテキストにタグを埋めこむことで、音声データにリンクを貼ることもできる。これをうまく使えば、もっと操作性のいいナビゲーションができないだろうか。

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