通常、家電のDVDレコーダーとPCの連携といえば、DVDメディアを介しておこなわれることが多い。どちらかで作成したDVDディスクを利用して、データをコピーしたり、映像を追記・編集したりといったことが可能だ。ただし、この場合は、レコーダーの機種によって利用できるメディアが制限されたり(とくに書き換え型のメディアはDVD-RWまたはDVD-RAMのみなど)、その都度、メディアの出し入れやオーサリングソフトでの書き込みといった手間もかかってしまう。
その点、PCとの連携用に10/100BASE-TXのEthernetポートを装備しているAX300では、データのやりとりはいたって簡単だ。ハブなどを介してネットワークで接続されたPCとは、HDD間でのファイルコピーと同様の操作で、録画データを移動できる。単にデータをスムーズに移行できるというだけでなく、AX300からの映像配信やファイル形式の変換、インターネットの番組表を利用した録画予約、その他、以下のような多彩な連携が可能となっている。
数ある利用法のなかから、今回は第一弾として、AX300の録画データを使ってPCでDVDディスクを作成するまでの一連の手順について紹介しよう。作業のおおまかな手順としては、
などという流れとなる。AX300の高画質録画や高速レート変換機能と、PCでの自由度の高いDVD作成という両者のイイトコ取りをした使い方だ。なお、ビットレートの調整や映像編集、メニュー作成などをおこなわない場合は、2〜4の手順を省略して、録画データを直接DVDビデオ形式で書き込むこともできる。
AX300での録画については前回を参照頂くとして、まずは、録り貯めた映像のなかから、DVDに保存しておきたいものを選び、PCへエクスポートするのが第一段階。ただし、そのまえに、確認しておきたいのがデータの容量だ。4.7GバイトのDVDに納まるサイズであるか、とくに高画質で録画した映像についてはファイルサイズが大きくなるのでチェックしておきたい。
もちろん、PCでもデータの再変換は可能だが、ご承知のとおりエンコードは負荷のかかる作業であり、CPUがあまり高性能なものでなければ、かなりな時間を費やしてしまうことになる。その点、AX300では、「高速レート変換エンジン」の搭載により、PCよりもはるかに短時間でラクに作業を完結できるので、事前におこなっておくのが効率的だ。
試しに、映像サイズ720×480ピクセル、ビットレート8Mbps(CBR)で録画した約2時間の番組データ(約6.8Gバイト)をAX300の「ファイル圧縮」でビットレート4Mbpsに変換したところ、21分弱で完了した(ファイルサイズは3.6Gバイトに縮小)。独自のエンコード・デコード方式が採用されたという高速な再変換で、他の機種にはないAX300ならではのメリットといえるだろう。
同じ作業をPCでおこなった場合には、CPUなどのマシン環境にもよるが、相当な負荷や時間がかかることになる。また、動画のエンコードソフトでは、詳細な設定が可能ではあるが、そのぶん操作が複雑にもなりがち。こうした作業は、リモコンからのワンタッチ操作で、スピーディにおこなえるAX300に任せてしまうのが賢明だ。
AX300に録画したデータをPCへダビング(HDDへコピー)するには、AX300に付属するCD-ROMからインストール可能な「SmartVisoion/PLAYER」または「AX連携ツール」を利用する。「SmartVision/PLAYER」は、同社のSmartVisionシリーズに同梱されるTVコントロールソフトと同様のもので、AX300に録画された番組をネットワーク経由で視聴・再生が可能。また、AX300からの映像配信により、TVチューナーを搭載しないPCでもリアルタイムでTVを視聴することができる(タイムシフトにも対応)。
一方、「AX連携ツール」では、録画データのダビングのほか、MPEG形式やWMV形式などへのファイル変換が可能で、これらを指定した時間に自動実行するスケジューリング機能なども搭載している。こちらについては次回以降で紹介するとして、今回は、「SmartVision/PLAYER」を利用したダビング方法を中心にみていこう。
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