PCとの組み合わせのメリット3:高速レート変換ダビングレビュー(1/2 ページ)

» 2004年03月31日 22時27分 公開
[土田一彰,ITmedia]

Linux搭載のPCアーキテクチャを採用

 これまでは、AX300の機能や操作性、PCと連動した利用法などについてみてきたが、少しハードウェアの面についても触れておきたい。基本仕様としては、従来機に引き続き、「VIA Eden Platform」にLinux OSを搭載するPCアーキテクチャが採用されているが、かなり大幅な変更も加えられている。

 まずは、ドライブ性能の強化だ。2倍速相当の松下製DVD-RAM/Rドライブが新たに搭載され、HDDも300Gバイト(または160Gバイト)へと容量が増強されている。DVDドライブは薄型タイプのため、HDDと上下に重ねて搭載されているにもかかわらず、本体の厚みは、従来機から1cm程度増えただけにとどまっている。

 また、従来機では、PCIバススロットに同社のSmartVisionのボードが装着されていたが、本機ではSmartVisionは装備せず、MPEGエンコーダーなどの各チップは専用マザーボードに実装されている。SmartVisionシリーズで培われてきた、ゴーストリデューサーや3次元Y/C分離といった高画質化のためのチップ、そして、新たに搭載されたのが独自開発によるトランスコード用チップだ。

 高速レート変換エンジンとしてAX300の目玉機能となっているが、これにより、ファイル圧縮やジャストダビングといった再変換の作業を驚くほどのスピードで完了できる。こうした専用のエンジンを搭載していないレコーダーでは、録画映像の再変換には再生と同程度の時間がかかるのに対し、AX300ではじつに最大約7倍速、平均で6倍速で実行可能となっている。

 こうしたファイルの再変換作業をPCでおこなった場合は、さらに長時間がかかることになる。エンコードにかかる時間は、CPU性能や使用するソフトにもよるが、比較のため、以下では同じデータの再変換で要した時間を計測しているので参考にしてほしい。

 なお、AX300のCPU自体は、最新のPCに搭載されているものに比べればさほど高性能なものではないが、Pentium 4などと同じ32ビット仕様で、従来機からは性能も向上している。シーンサーチやカット編集の際の映像サムネイル表示や追従性の良さは、これによるところが大きいだろう。

 AX300ではPCアーキテクチャを採用しているため、CPUファンや電源ファンが搭載されているのも特徴的だ。ファンは、PCに搭載されているものほど大きなものではない。PCに比べれば音自体はさほどうるさいわけではなく、よほど静寂な環境でなければ気にならないレベル。AVラックなどに納めてしまえば、電源ファンは背面側なのでほとんど問題にはならないだろう。

独自方式の高速レート変換

 さまざまなハードウェアの変更や強化が採り入れられたAX300だが、なかでも最も注目の技術が、高速レート変換エンジンだ。その実力を試すために、いくつかの録画データをファイル圧縮してみた。まず、高画質で録画した約2時間(1時間55分)の番組データ(固定ビットレート、8Mbps、ファイルサイズ約6.8Gバイト)を、標準画質程度の4Mbpsに再変換したところ、要した時間は20分11秒。ファイルサイズは約半分の3.6Gバイトにまで圧縮されている。

 高画質のままの同じデータをビットレート3Mbpsに落とした場合は、19分45秒かかり、ファイルサイズは約3Gバイトに縮小された。低ビットレートにするほど、それに比例して変換に要する時間も短くなってくる。

 次に、高画質で録画した約30分のデータ(固定ビットレート、ビ8Mbps)を4Mbpsに変換したところ、5分15秒、さらにこのデータを3Mbpsにした場合は3分30秒であった。変換するデータの容量やビットレートの低下率に比例して要する時間も少なくてすむ。

 計測の結果からすると、平均して6倍速程度で変換が完了していることになる。これが、専用のレート変換エンジンを搭載しないレコーダーの場合は、映像をリアルタイムでデコードしながらエンコードし直すため、映像の再生と同程度の時間がかかってしまう。対して、AX300では、映像を完全にはデコードせず、高速なデコーダとエンコーダを組み合わせた独自の方式により、こうした高速変換を可能にしているようだ。いずれにしても、大幅に時間を省略できるので、大きなメリットといえるだろう。

 また、ジャストダビング機能で、高画質の2時間番組(ビットレート8Mbps)をDVDに書き込んだ場合は48分04秒。この場合も、高速変換されたあとにダビングが実行されるので、高速レート変換エンジンが活きてくる。

 なお、再変換した映像は、同じビットレートで録画したままのデータよりも若干画質は落ちることになる。ちなみに、ビットレート8Mbpsのデータを4Mbpsに変換したところ、大画面で観てもまったく問題はないほど画質は保たれていた。さすがに、3Mbpsに変換した場合は、動きの速いシーンでは若干ブロックノイズが発生するものの、それでも通常の視聴には充分耐えられるクオリティだ。

 ただし、永久保存版としてDVDに書き込む場合ような映像は、できるだけ再変換しないのが望ましいだろう。ビットレート8Mbpsの高画質設定では、2時間番組を4.7GバイトのDVD1枚に収めることはできないので、分割して保存するか、あらかじめどれくらいの容量になるかを計算して、ユーザー設定でビットレートを下げて録画するのがお薦めだ。

レート変換をおこなうには、ナビボタンで「ファイル圧縮」を選択
ビットレートを設定。720×480ピクセルの映像では3Mbpsが下限となる
変換中は進捗状況がパラメータで示される

PCとのファイル再変換速度を比較

 さらに、比較のため、PCでも再変換をおこなってみた。

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