電源を入れると2秒程度で撮影準備が可能となる。撮影間隔も3秒以下と、低価格のデジカメにしては軽快だ。前述のようにパンフォーカスであるうえに、シャッターを押した瞬間にシャッターが切れるので、軽快に使用できる。
ただ、状況によってシャッターが切れないと思われることがあった。原因は不明だが、どうやら露出の計算に時間がかかっているようだ。暗い場所やコントラストの激しい環境ではシャッターを押してもすぐに切れないが、押したまま1〜2秒ほど待っているとシャッターが切れた。これは露出モードをスポット測光にすることである程度改善できるようだ。
シャッタースピードは4〜1/100秒と通常の撮影では十分である。多少暗くてそれほどブレず、失敗は少ない。ISO感度は「自動」、「50」、「100」、「200」の4種類であるが、屋内の蛍光灯だけで撮影してもブレることは少なかった。
ただ要望を言えば、撮影中の液晶モニタにシャッタースピードが表示されるとよいと思った。暗い場所ではブレそうかどうかをシャッタースピードでチェックできるからだ。DZ-438では一度撮影して再生してみないとブレはチェックできない。
なお単焦点レンズのため、ズーム機能は4倍のデジタルズームのみとなる。ズームは9段階で6Mバイトの記録モード以外で利用可能だ。ただし、4Mバイトの記録モードで4倍ズームを行うとかなり荒い画像で撮影される。
動画は320×240ピクセル、30フレーム/秒のMPEG-4形式で、メモリいっぱいまで撮影できる。ただし、バッテリーが先になくなることもあるので注意が必要だ。256MバイトのSDメモリーカードで約56分の撮影が可能だ。ちなみに動画撮影中はズーム機能が利用できない。
モノラル音声付きで撮影可能だが、カメラ本体にスピーカーが付いていないため、再生は音声なしの映像のみとなる。音声はややこもりがちで、ノイズも大きいようだ。
シーンモードは「自動」「スポーツ」「景色」「夜」「人物」「パーティ」の6種類を搭載している。「景色」とは風景写真の撮影モードで、「夜」は夜景撮影である。ただし「夜」モードではストロボを使用できないため、人物と夜景を入れた撮影はできない。
シーンモードではカメラ側で最適と思われる設定に固定されるため、測光モードや色に関連した設定ができない。シーンモードであっても、ホワイトバランスと露出の調整ができるとよかったと思う。たとえば「夜」モードでは、ホワイトバランスが「日光」に設定されるため、光源によってホワイトバランスがずれてしまうのだ。また、露出補正ができないため、微妙な明るさの調整ができないのは残念だ。
再生時の拡大表示はスペック上で8倍となっており、ブレなどのチェックも十分可能だ。拡大表示時に「DISP」ボタンを押すことで、表示する位置を移動することもできる。拡大表示時に「MENU」ボタンを押すと、拡大表示をキャンセルできるのは便利だ。デジタルカメラの多くは拡大表示から通常表示に戻す際、ズームレバーを広角側に何度も押さなければならない製品が多いため、この点は評価できる。
なお、撮影した画像を回転したり、トリミングを行ったり、カメラ内にメモリされている6種類のフレームを付けたりすることもできる。
このカメラで最も気になるのはバッテリー持続時間である。単4形アルカリ乾電池を2本で400万画素CCDを搭載したカメラを動かすため、持続時間は厳しくなる。メーカー公称値では約170枚の連続撮影が可能とのことだが、実際に1枚ずつ画像の確認をしながら撮影を行うと、約50〜70枚しか撮影できなかった。ストロボを併用するとさらに低下し、30枚程度しか撮影できないこともあった。
DZ-438だが、レンズ性能や使用するバッテリー持続時間の関係で、残念ながら400万画素CCDの性能を生かしきれていないようだ。ホームページ用途やはがき印刷などに使うのであれば、400万画素のCCDでなくてもよいので、同価格帯の200万画素機のほうが使いやすいだろう。
動画をメモリいっぱいまで撮影できるのはよいが、音声のノイズが気になることと、バッテリー持続時間の関係でその性能が生かしきれていない。ただし、手軽に長時間映像が撮影できるのはよい。低価格カメラと割り切って、映像撮影に使ってみるのも一つの手だろう。
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