ほぼ無音、割り切った構成が潔い超小型ファンレスPC――イーレッツ「Be Silent MS6000」(1/2 ページ)

» 2004年06月10日 17時14分 公開
[岩城俊介,ITmedia]

コンパクトながら、搭載インタフェースは豊富

 イーレッツ「Be Silent MS6000」は、マザーボードにminiITX規格の「VIA EPIA-ME6000」、CPUにファンレス仕様のEden/600MHzを採用する、完全ファンレスの超小型ベアボーンキットだ。60ワット出力のAC電源を採用し、騒音源となる回転デバイスは内蔵2.5インチHDDのみという割り切った構成、そして前モデル「Be Silent M6100E」(2004年3月22日の記事参照)には存在しなかった、筐体にむき出しで配置される外部IDEサービスポートの搭載が大きな特徴となっている。

Be Silent MS6000

 EPIA-ME6000には、グラフィックス機能付きとなるVIA CLE266チップセット、外部ディスプレイ出力×1、S-Video/RCA出力×各1、DDR SDRAMスロット×1、Ultra ATA/133×2、100BASE-TX LAN×1、USB2.0×4、IEEE1394×2、AC'97互換6chオーディオ、PS/2×2、パラレル×1、RS-232シリアル×1と、本体サイズ204(幅)×73(高さ)×197(奥行き)ミリのコンパクトな筐体に、レガシー系からIEEE1394、S-Video出力まで、多彩なインタフェースが用意される。

Be Silent MS6000背面パネル

 Be Silent MS6000の特徴となる、外部用“むき出し”IDEサービスポートと外部電源ポート(FDD用に使われるコネクタタイプ)は本体背面下部に配置される。内部セカンダリIDEポートから中継用基板に接続される形で、内部からそのまま延長されている。

普段はフタがされているが、左右ねじを二つはずすとIDEポートむき出しのサービスポートが出現する

 主な用途としては、OSやアプリケーションインストール用としての、光学ドライブの接続がある。接続には、一般のIDEケーブル(キットにも付属)と別途内蔵ドライブ用の大4ピン電源(メス)−FDD用小4ピン電源(メス)変換コネクタケーブルなどを用意する。この変換ケーブルはPCパーツショップなどで300円程度から購入できる。

 なおこの変換ケーブルを新規で購入する際には、この類のケーブルが販売されているショップ内コーナーではすぐに見つかるであろう大4ピン(メス)×1、大4ピン(オス)×1、小4ピン(メス)のタイプではなく、大4ピン(メス)が二つ搭載されているものがあればそちらをおすすめしたい。このむき出しポートは純粋なIDEポートなので、光学ドライブのほか、もう一台、3.5インチHDDなども接続できるためである。

マザーボードのセカンダリIDEポートから延長されてきているだけなので、2台分の機器接続が可能

 USB2.0×4、IEEE1394×2など、外付けドライブ接続が可能なインタフェースは、一般のデスクトップPCなみに搭載されるため、起動ドライブには安価傾向の容量が少なめのHDDを内蔵し、ファイルストレージとしての機能は外付けドライブでまかなうという手段も考えられる。

 電源には、出力60ワットのAC電源が採用される。サイズは、120(幅)×59(高さ)×30(奥行き)ミリとノートPC用などに比べるとやや大きい。ただし持ち運ぶものではないだろうし、設置に関してはほとんど問題ないだろう。なお、AC電源から本体へのケーブル長は約1.2メートル、AC電源から電源コンセントまでのケーブルは約1メートルのものが付属される。

コンパクトながら、内部にもアクセスしやすい工夫された設計

 では内部を見ていこう。

 コンパクトな筐体のため、さぞかしぎっちり詰まっていると思いきや、ケーブルの取り回しがうまくまとまっているためかそれほどではない印象だ。ちなみに、底面4つのねじと前面アクリルプレートを止めるヘキサゴンボルトを外せば、内部ガワごとスライドさせてケースカバーを取り外すことができる。

真ん中にCPU、チップセット(のヒートシンク)が並び、背面パネル方向(写真下部)はかなりのスペースがある

 背面パネル方向のスペース部分には、使用していない5V電源ケーブルが収まりきれず飛び出しているような格好になっているが、このケーブルは本体脇に置いたもう1台のHDDが接続できるほどの長さがある。用途は少ないだろうが、いざというときにここから電源を確保できるため、この長さが助かるのである。

 なおEPIA-ME6000にはPCIスロットも1本存在する。ただしBe Silent MS6000のケースに設置した状態では、本体フレームがちょうど真上を通っているため、ケースに搭載したままでは使用することはできない。

内部の使用されないPCIスロット

 内部は2段構造となっている。上段にマザーボード、そこから各種ケーブル類が下段に周って、2.5インチHDD、外部IDEポート、USB2.0×2/IEEE1394ブラケットが配置される仕組みとなる。下段は筐体ごと裏返せば作業できるため、内部アクセスにまったく困らない。

裏には2.5インチHDD、IDE“むき出し”サービスポート/USB2.0/IEEE1394ブラケットが搭載される

 ここで目立つのは、筐体の3分の1ほどを占める巨大なCPU用ヒートシンクだ。CPUの熱はそのまま上へ伝わり、巨大ヒートシンクで放熱する。

 このヒートシンクは、特に作業をせず、OS起動しっぱなしの状態でもやや熱くなる。試しにCPU稼働率が100%となるよう20分ほど負荷をかけてみたが、簡易温度計読みで28度から45度近くになり、1〜2秒触っていると熱っ、というほどにまで上昇した。

 机上へも気軽に置いておけるコンパクトな筐体なだけに、紙資料や外部IDEポート接続とした光学ドライブ、あるいはキーボードなどが、筐体上にちょうど“置きやすい”具合ではあるが、この部分をふさいでしまうと熱がこもってしまい、マシンを壊すことになりかねないので注意したい。

巨大ヒートシンクは起動中に素手で触れると熱いほどにまで温度が上昇することもある。なおヒートシンクは6本のねじを取り外せば脱着可能だ
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