DivX VS Windows Media 9、品質と速度比較〜どっちが優れているのか?わかりたい人のための動画エンコード講座(1/2 ページ)

» 2004年11月02日 17時58分 公開
[姉歯康,ITmedia]

AVIフォーマットで公平に比較、まずは「ムチャなエンコード」で傾向チェック

 まず、今回のテストは、公平を期すため、同じツール(AVIUtl)を使って同じフォーマット(AVI)にエンコードするという方法で行った。つまり、Windwos Media Encoderではなく、Windows Media Video 9 VCM(Video Compression Manager)を使ったというワケだ。DivXは5.2.1のProバージョン(日本語最新版の5.1.1はホロンから出ているパッケージで利用することができる)。

 素材としては、DVで撮影した画像を、いちど非圧縮のAVIに変換したものを使った(「ヘンなことするなー」と思われるかもしれないが、これは私のパソコン環境に由来するものである……)。

 冒頭でも述べたが、いずれも高機能・高品質のコーデックである。普通の使い方をすれば、細かなことをせずにデフォルト値で圧縮しても、それなりの品質の映像ができあがる。たとえば「320×240ピクセル、300Kbps、15FPS」と設定すればバッチリである。そこで、まずはムチャな注文をつけて、違いを観察してみた。

 「ムチャな注文」とは、「640×480ピクセル、15FPSで200Kbpsでどうぞ!」といったものである。しかも、元画像には細かな草のサワサワとした動きや水の流れが含まれている。果たしてどうなるか? 2パスVBRどうし、1パスVBR(DivX)対CBR(WM9)で試してみたが、傾向は同じであった。

フレーム減らしてビットレート保つWM9、フレームを保ってビットレートをオーバーするDivX

 まず、WM9のほうは、基本的に指定ビットレートを守ってくれる。しかも、パッと見ると美しい。「オヤ?」と思ってチェックすると、フレームがかなり間引かれている。表示上は15FPSということになっているが、ほとんどスライドショーのような状態なのである。「なんとかビットレートを守ってクオリティも保ったままエンコードしようと努力した結果、フレームレートを大幅に減らしてしまった」という感じである。

 一方のDivXはというと、低いビットレートに設定しても、ある程度から下には絶対に行かない。限界値のようなものがあるようだ。しかし、フレームレートは守られる。画面はブロック歪みだらけで、「頑張っている」ことがよくわかる。「指定を守ろうとしてボロボロになりながらエンコードするが、できないものはできない。フレームレートは守るから勘弁してくださいよ」という感じである。

 この部分についてはコーデック開発の考え方などによるものであろうから、優劣をつけたくはない。「パッと見」ではWM9のほうがきれいに見えるが、フレームレートが低いのだから、当たり前である。

 穿った見方をすれば、「とにかく汚い画像を一瞬でも見せればコーデックのイメージが落ちる」ことをよく知っているマイクロソフトの手法は「ウマい」と感じた。ここに関しては画面写真を載せると、圧倒的にWM9が有利になってしまうというワケだ。

「ナチュラルのDivX」と「くっきりのWM9」?

 先程のテストは、あくまでもコーデックの特性を調べるための意地悪テストで、実用を想定したものではない。そこでもう少しだけ実用に近づいて450Kbpsでテストしてみた。今回のサンプルは、細かい草の揺れ、水の流れなどがある、意地悪な映像である。450Kbpsでもかなり厳しい。が、厳しいものでないと、差がわかりにくいのだ。

 全般的に見ると、WM9のほうが「いじっている」ような印象を受けた。色や輪郭などをなるべくはっきりさせ、ブロック歪みになりそうなところを徹底的にボカす。一方のDivXはもう少し素直で、素直にブロック歪みが出てしまう(ような気がする)。

 ところが、静止画としてフレームを切り出すと、そうとも言い切れない。DivXのほうが色を強調しているように感じられる部分もある。

 以下、特徴的な部分を見ていこう。

レンガ路パート

  • 〜DivXは「きれいにボケ」、WM9は「ハッキリとモザイク」

 まずはこのレンガの部分。

上がDivX、下がWM9

 ある部分を切り出したものがこちら。

上がDivX、下がWM9
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