これは、カメラがメチャクチャに動いてしまった部分である。WM9では色なども再現され、輪郭もクッキリとなっている。そのため、ブロック歪みが出てしまっている。DivXのほうがきれいにボケているが、逆にヘンなブロックも出てしまっている。
次はこの緑あふれる部分。
一部を切り出したものがこちら。
ここを見ると、DivXのほうが鮮やかな緑が再現されている。その分、奥の塀の部分が危うい。WM9のほうは緑の色がダメだが、奥の緑がうまく均等にボカされている。「まずいよ、細かい映像がきちゃったよ。色、落とそう。でもって、奥はうまくボカしちゃえ」とやっているような感じに思える。
もうひとつ、このカモの色に注目してほしい。
ついでに、ここで後ろの塀の感じも見てほしい。
まず、カモの色はWM9のほうがウマそう……いや、きれいだが、奥の塀のボコボコがノイズのように見えてしまっている。
これらは、「デフォルトでの設定がそうなっているだけだ」と見ることもできる。ある程度はユーザーが設定で微調整していけば解消されるものもある。だが、色については傾向がありそうだ。私には「赤系を強調するWM9と緑系を強調するDivX」というふうに見える。
次に「圧縮にかかる速度」のテスト。これは、双方とも2パスVBRで、標準の設定で試してみた。変更した項目は平均ビットレートと最高ビットレートの部分だけである。ソースは先程と同じもので、1分の長さのものである。結果は以下の通り。
2パスVBR | WM9 | DivX |
---|---|---|
1パス目 | 1分20秒 | 1分 |
2パス目 | 4分5秒 | 1分 |
2パス目で4倍もの差が出てしまった。圧倒的にDiVXのほうが速い。あるいは、WM9のエンジンには、フィルタ処理機能のようなものも含まれているのだろうか?
……というように、結論を出すのは非常にムズカしい。今回のサンプルで言えば、草の緑色などはDivXのほうがより鮮やかに、しかも細かく表現されているようにも思える。WM9では、赤系の色がきれいに出ている。WM9ではモザイク状のいわゆるブロック歪みの出る箇所は少ない。あまり優劣をつけたくないレベルである。画像の専門家が細かく見ていけば、違いはまだまだあるのだろうが、素人の私が見て、驚くような違いはない。
しかし、速度面では明らかにDivXのほうが速い。これは非常に重要なことである。サンプルを1分にまとめたからよかったようなものの、一時間のものでテストを繰り返せば、4倍の差というのはあまりにも大きい。私は速度を重視したい。
さらに、今回はあまり関係ないが、「DivXにはMacバージョンがある」ということは、私にとって非常に大きいことだ。「Windowsを使う」という行為そのものが、私にとっては著しく作業の能率を落とす行為なのでなる。そういう人間にとって、「AVIフォーマットできれいに効率よく圧縮する」ための手段はDivX以外に考えられないのだ。
なかなか決定的なことが言えずに申し訳ないが、今回に関しては、「速度の面でDivXの勝ち! Mac版があるのでDivXの勝ち! 品質に関してはよく見てね!」というくらいで勘弁していただきたいところである。
P.S. 参考までに、今回のサンプルを320×240、15FPSで作成したものを置いておく。ビットレートはDivXが136Kbps、WM9が120Kbps程度で、若干の違いがある。DivXを再生するためにはDivXコーデックが、WM9を再生するためにはWM9VCMが、それぞれ必要になる(つまりMacでは比較できない……)。それぞれ、ダウンロードして試してほしい。
実際に自分で試してみたいなら、DivX Pro 5.1.1日本語版に対応したパッケージを入手しよう。わかりやすい説明がされたガイドブックも添付されている。
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