さて、紅葉の下を歩いていて、「この風景を撮りたい」とカメラを向けたとしよう、というか、そう思ってカメラを向けるんだけれども、そこで思ったように撮れるかというと、そうとは限らないのがややこしいところ。カメラは人間の目にそれがどう写っているかなんて考えてくれないからだ。
どちらも同じ場所で撮ったんだけれども、1枚目は紅葉の色がきれいに出てない。カメラは構図全体を見て明るさを決めるので、木陰が黒くつぶれちゃわないように調整しちゃったおかげで、明るいところが白っぽくなってしまったのだ。明るくなればなるほど色は薄くなっちゃう。
そこで、-2/3段の露出補正をかけて撮り直したのが2枚目。そうすると下の方やそこを歩いている人はかなり暗くなってしまったけど、その分紅葉の赤や黄はより濃くて鮮やかになった。この方が気分が出るってもんだ。
特によく晴れている日は、明暗差がすごく激しくなるので、露出補正などを使って、一番撮りたい被写体がきれいに撮れるよう調整するのは重要なのである。
次のポイントは「ホワイトバランス」。
1枚目は落ちている紅葉をオートで撮ったもの。曇っている日や日陰はちょっと青っぽい色をしている。その分紅葉も赤みが足りなくて枯れ感が強く出ちゃいがち。この辺はデジカメのオートホワイトバランス機能の働き具合によって変わってくるけれども、このとき使ったデジカメではこんな風に撮れてしまった。これはこれで間違いじゃないけれども、撮った写真のプレビューを見たら「こんな写真を撮りたかったんじゃない」と思ったのである。
そこでホワイトバランスを「曇天」に固定して撮影したのが2枚目。石がちょっと赤っぽくなったけど、同時に葉っぱも真っ赤で、いかにも紅葉っぽいしっとりした感じになった。
晴れた日でも同じ。
オートで撮った色はまったく間違いではないんだけれども、ホワイトバランスを固定した方がより赤みが増して撮れた。
紅葉に囲まれた風景はオートホワイトバランスがうまく効きづらいもの。そういうときは天候に合わせてマニュアルでセットしてみよう。
もし使っているカメラがもっと細かい画質調整ができるものなら、彩度を上げたりコントラストを下げたりしてみるのもいいだろう。
2枚目はホワイトバランスを曇天に固定し、彩度を上げ、コントラストを下げて撮った写真。1枚目と比べると色の濃さやコントラストが全然違うのがわかるはず。
つまるところ、カメラのセッティングで大きく写りが変わるのだ。紅葉のように「色」が重要な被写体の場合は、セッティングに気をつけようという話。
カメラ側のポイントは、露出補正とホワイトバランスだ。
一番きれいに色を出したいものがきれいに撮れるよう調整する。ホワイトバランスは、晴天より曇天や日陰にセットした方が赤っぽく写るということも頭に入れておくといい。
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